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五輪関連支出、6年で1兆円超に 会計検査院

会計検査院は4日、2020年東京五輪・パラリンピックの関連支出が18年度までの6年間に約1兆600億円に上ったとの調査報告書をまとめ、国会に提出した。中には政府が関連性が低いなどとして、五輪関連予算に計上していない事業も多い。検査院は「国民の理解を得るため、業務内容や経費の規模の全体像を把握して公表に努めるべき」としている。

11月に完成したメイン会場の国立競技場(東京・新宿)

会計検査院が五輪関連と判断した支出額は、17年度までの5年間から約2580億円増えた。一方で政府は19年度までの五輪関連予算を2197億円としている。

大会組織委員会と東京都が公表している運営などの経費を合計すると、大会の支出総額は約3兆円となった。

政府は年1回、各省庁の五輪関連施策の状況を国会に報告。検査院はこの報告内容から五輪に関連する事業について国の支出額を集計した。

18年の前回調査報告では17年度までの5年間で関連支出が8011億円と指摘。政府は指摘を受けた各事業について大会への関連度を3段階で分類し、直接関連する「A分類」は1725億円のみとした。残りの「B・C分類」は本来の行政目的の事業として、18年度も五輪予算に計上しなかった。

検査院が今回指摘した1兆600億円のうち、セキュリティー対策や円滑な輸送、暑さ対策などの「大会の準備や運営に関する支出」が約7900億円を占めた。テロの未然防止やサイバーセキュリティーなどの支出の積み増しが目立ち、福島県の再生可能エネルギー発電補助金(26億円)などの新規事業があった。

日本の技術力や文化の発信などの「大会後もレガシー(遺産)として残る支出」は約2695億円だった。大会後を見据えた観光振興として訪日客の広域観光を促す地域支援事業(13億円)などが関連支出と認められた。和食・和の文化発信強化(計89億円)の20事業や、クールジャパンの効果的なPR(計17億円)の15事業はいずれも五輪予算には計上されていなかった。

他に国会に報告する五輪関連施策に記載されていないなどの理由で非公表とされた支出も計207億円あった。検査院はオリパラ事務局を設置している内閣官房に対し、各府省から情報を集約、業務内容や経費を把握して公表するよう求めた。

内閣官房は「指摘は五輪との関連性が低いものまで一律に集計したものと受け止めている。大会に特に資する事業についてはしっかりと整理した上で分類を公表していきたい」としている。

五輪のレガシー(遺産)などに詳しい奈良女子大の石坂友司准教授(スポーツ社会学)は「長野冬季五輪ではチェック機能が果たされず、多額の借金が残った。関係ない予算が紛れ込むのを許せば歯止めがきかなくなる可能性がある」と指摘する。「すぐに効果を発揮しない事業は長期的なチェックも必要で、本当にムダかは専門家が見てもグレーな場合がある」とし、「全体額の大きさだけがクローズアップされがちだが内容を精査すべきだ」と話している。

東京五輪・パラリンピックのメイン会場として開閉会式などが行われる国立競技場

■「国立」にも厳しい目

会計検査院は4日に公表した調査報告書で、すでに政府が進めている五輪関連事業の進捗状況も確認した。

大会運営に影響する恐れがあるとして、政府は金融や物流などの事業者のサイバーセキュリティー強化を支援している。

サイバー攻撃を受けた際に生じるリスクを各業者に確認、対応してもらう政府の事業を検査院が調査したところ、16年度にリスクが確認された19の事業者のうち、次年度に対応を終えたのはわずか2事業者だった。17年度も25事業者のうち対応を完了したのは2事業者のみだった。検査院は内閣府に「リスク対応の適切な実施」を求めた。

ホストタウンと選手・地域などとの交流事業を調べたところ、18年度は1111事業のうち135事業(計1億2千万円)で予定された交流が実施されていなかった。

検査院は11月末に完成したメイン会場の国立競技場(東京・新宿)にも厳しい目を向け、「大会終了後の改修内容や財源が未定」と指摘。維持管理費に関し「運営収入で負担しきれない場合、新たな国の負担が生ずる可能性がある」とした。文部科学省に対し、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)などと協議し「民間事業化に向けた事業枠組みを検討する必要がある」とした。

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