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子ども3人教育費で貯蓄ピンチ 親子で進めた支出削減策

家計再生コンサルタント 横山光昭

写真はイメージ=123RF

「今後は投資信託を解約するしか手はないでしょうか」と教育費の不足を心配して相談に来られたのは、女性会社員のSさん(49)。会社員の夫(50)との間に3人の子どもがおり、教育費がかかる年齢になってきました。長女(18)は今年浪人生で予備校へ。続いて私立高校2年の長男、中学1年の次女とこれから受験を控えている子が続いています。

現在の貯蓄は、社内預金が約300万円、積み立て投資をしている投資信託が約350万円。夫のボーナスは3年ほど前から大幅に増えましたが、それはほぼ教育費に消えています。むしろ足りなくなることが多く、社内預金を下ろして使っているため、「このままでは破綻してしまう」と危機感をお持ちです。ですが、一方で子どものためにお金をかけてあげたいという気持ちも強く、どうしてよいかわからないと言います。

予定外の教育費、銀行預金が2年で底つく

夫婦の月の手取りは合計で58万円ほどです。支出は毎月トントンか、むしろ赤字であることが多いかもしれないとのこと。その赤字の補填をする元となるであろうボーナスは、前述のように教育費、特に毎月の、というよりは私立高校の授業料や学用品であったり、塾の夏期講習、冬期講習など臨時的な講習や参考書などの教育費に消えてしまいます。

つまり、教育費が多くかかる前は、ボーナスから支払っていた家電や家具、スーツ類やコートなどの購入、帰省、旅行といった費用は全て貯蓄から賄うしかないのです。このような臨時支出は最小限に収めようとしてきたものの、銀行に預けていた約150万円の貯蓄は2年ほどですっかりなくなり、貯金は社内預金の約300万円だけになってしまいました。

Sさんは「本当はこんなに教育費をかける予定ではなかった」といいます。長女は浪人する予定ではなかったので、予備校に支払うお金が非常に重く感じるそうです。また、長男が私立高校に通うことを決めた時はちょうど、私立高校に授業料軽減の助成金が手厚く出るようになる時期でした。ですから私立に行っても負担は多くないと思っていたのに、急に夫のボーナスが増え、年収制限にかかってしまいました。国からの助成金も、自治体からの助成金も受けることができず、全額自己負担することになってしまったという誤算がありました。

夫は収入が増えてうれしい状況であるはずなのに、こういったことから節約のために給料から自分の小遣いをもらうことを辞退し、休日にアルバイトをし、小遣いを稼いでいます。

要するに、これだけ頑張っていても、予定外の教育費負担で、お金のやりくりが、月の家計としても、貯蓄の管理としても、うまくいかなかったということを「仕方がなかった」と訴えたいようでした。ですが、毎月の家計状況を聞き取りして数字化していくと、教育費だけが重荷ではないことが分かりました。

食費や日用品で支出が多め、全般的に「メタボ家計」

支出が全体的に多い、いわゆるメタボ家計。特に食費は毎月コンスタントに10万円を超える状況です。毎月の教育費もかかっていますが、自動車関係にも、被服関係にも随分とお金を使っている印象です。

支出の仕方を聞いていくと、食費は共働きで食事の準備が大変なので、外食が多く、間に合わない時は各自で総菜や弁当を買ってきて食べるため支出が多くなっているそうです。

日用品は少し買いすぎる傾向があるようです。教育費は塾の月謝と部活費用がほとんど。被服費はクリーニングが多く、他にサブスクリプション(定額課金)のサービスを複数契約しているということもわかり、見直していくことにしました。

ただ、見直すにしても、ただ我慢すればよいというわけではありません。自分たち家族はどこにお金をかけたいか。優先したいことがあるのであれば、他の支出を下げてコントロールするということをしなければ、限りある収入のなかで、お金をためていくことはできません。

家族の協力で月約6万5000円削減

聞くと、やはり夫婦としては「いま頑張っている子どもにお金を使ってあげたい」とのこと。そうであれば、教育費以外で支出を下げる努力をする必要があります。

検討してみたところ、食費は長女、次女の協力を得て、夕食時は米を炊き、味噌汁を作ってもらえることになったそうです。Sさんはおかずだけ考えておけばよいということになります。焼いたり、ゆでたりして食べられる簡単な食材を週末に用意しておいて、できるだけ買い物に行く日を少なくするようにしてみました。また、3人前のおかずが1000円以下で作ることができる食材と調味料がセットになったミールキットを取り入れるなどの工夫もしていきました。

スマートフォンは格安スマホにしてからプランの見直しをしていないということでしたので、見直しをしました。長女、長男はデータ通信量を使い切っていますが、両親と次女は1ギガバイト近く通信量を余らせている状況です。加えて固定電話もほとんど使わないことに気が付き、スマートフォンのプラン変更と固定電話の解約をしました。

日用品は無駄買い、買いすぎを意識し、クリーニングはやはり子どもの協力を得て自宅で済ませられるものを多くしました。サブスクは受験生もいますし、テレビばかり見ているわけにはいかないとの判断で、1つの契約を残してあとは解約。使途不明金も少なくするようにし、無駄を省きました。

これらの変更については、子ども達を集め、話し合ったそうです。長女の予備校のお金を出す、学校に払うお金を残しておく、部活の費用を出す、という今必要なお金を払いながらも、長女、長男の大学進学に向けてお金をためるには、できる範囲で支出を絞らないとうまくいかないということを伝えると、子どもたちが積極的に手伝ってくれるという結果に結びつきました。

毎月の支出の削減は6万5000円ほど。子どもたちの様子を見て、夫も「月1回しか給油しない自動車はカーシェアに変えるべきかな」と考え始めているそうです。まだまだこれから、生活をコンパクトにしていくことができそうです。

どこにお金をかけるか、暮らし方の軸を持つ

ボーナスをほぼ使い切ってしまう臨時の教育費については、長男の授業料は仕方がない部分があっても、他で減らすことができないか検討すべきです。例えば、塾で勧められる夏期講習。全て参加すると50万円ほどになるけれど、子どもが理解でき、消化できる分としてはそれだけの量が必要かを考えて調整するなども、工夫の仕方の一つです。お金のかけ方というものをきっかけに、自分たちの学ぶスタイルや暮らし方の軸をしっかり持てると、なおよいでしょう。

Sさん夫婦は今回、家族みんなで取り組みができたことで、ようやく、毎月少しずつ貯金ができる環境が整いました。様子を見ながら、自分たちの老後資金について考えられるよう、次の段階に進んでいく予定にしています。

教育費はよく「聖域」と言われ、どんどんお金をかけがちな部分です。Sさん夫婦は、目の前の、必要な教育費を支払うにはどうすればいいかということばかり考えていました。そのため、自分たちの老後資金についてはすっかり忘れています。もしこのまま貯蓄が増やせずにいたら、子どもに迷惑をかけることになるということにも気付かずに。

ですが、そこまでして親が教育費を支払う必要はあるのでしょうか。子どもが大学生にもなれば、学ぶための費用は自分で負担してもらおうと考えてもよいと思うのです。

また、収入が多くても、あれもこれも必要な支出だとお金をかけていると、簡単に赤字になってしまいます。大切だと思えるものが多い場合は、どれが一番大切で、次はどれ、という具合に、優先順位をつけてみるとよいでしょう。すると、順位の高くないものは「今ではなくていい」と考えられるようになったり、「いらない」と思ったりできるかもしれません。そうやって支出を減らすコントロールが大切です。これは、Sさんのように教育費が多い家計だけの問題だけではなく、恐らく、多くの家計に必要な事ではないかなと思います。

支出を減らしたい、家計を変えたいと思ったら、一度「我が家の支出の優先順位」を考えてみてもよいかもしれません。

(「もうかる家計のつくり方」は隔週水曜更新です)

横山光昭
 (株)マイエフピー代表、mirai talk株式会社取締役共同代表。顧客が「現在も未来も豊かな生活を送ることができる」ことを一番の目標に、独自の家計再生・貯金プログラムを用いた個別の指導で、これまで1万件以上の赤字家計を再生。著書は累計100万部を超える『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズ、累計65万部の『はじめての人のための3000円投資生活』シリーズがあり、著作合計88冊、累計270万部となる。講演も多数。

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