トランプ氏、北朝鮮をけん制 軍事力行使に再言及
【ロンドン=中村亮】トランプ米大統領は3日、北朝鮮との非核化交渉に関連し「米軍を使うことを望んでいない。だが必要になれば使う」と語った。軍事行動の可能性に再び触れて、中長距離弾道ミサイルの発射を再開するとの観測が浮上している北朝鮮をけん制する狙いとみられる。
訪問先のロンドンで北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長との会談中、記者団の質問に応じた。
トランプ氏は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長について「ロケットを飛ばすのがとても好きだ。だから彼をロケットマンと呼んでいる」と語った。トランプ氏は2017年秋にミサイル実験を繰り返す金正恩氏をロケットマンと呼んで挑発し、軍事行動を辞さない構えで非核化を迫った。この呼称に再び言及したのは非核化の停滞に関するトランプ氏の不満を示している可能性がある。
一方、北朝鮮の完全非核化をうたった18年6月の米朝合意に言及。「金正恩氏は非核化を望んだ。(金正恩氏が)合意を順守することを望んでいる」と指摘し、非核化協議の進展に期待を示した。
北朝鮮は非核化協議で年末までに譲歩するよう米国に迫っている。3日の朝鮮中央通信は、北朝鮮外務省のリ・テソン外務次官(米国担当)の談話を報じた。「米国に示した年末までの期限が迫っている。残ったのは米国の選択であり、近づくクリスマスのプレゼントに何を選ぶかは米国の決心次第だ」などと主張し、進展がなければ対抗措置も辞さない姿勢を見せた。
北朝鮮が再び中長距離の弾道ミサイルや「人工衛星」の発射に踏み切るとの見方は強まっている。韓国の情報機関によれば、東倉里(トンチャンリ)のミサイル発射試験場近くでは車両の動きが活発になっている。11月30日の朝鮮中央通信は、北朝鮮のミサイル発射を非難した安倍晋三政権に反発し「安倍は本当の弾道ミサイルがどれかを遠からず、非常に近くで見ることになるかもしれない」などと挑発した。