ブラジル経済、7~9月期は0.6%増 消費堅調も輸出減

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2019/12/3 22:07
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【サンパウロ=外山尚之】ブラジル地理統計院(IBGE)が3日発表した7~9月期の実質経済成長率は前期比0.6%増と、伸び率が4~6月期実績(改定値)から0.1ポイント伸びた。インフレ率や政策金利が歴史的な低水準にあるなか、消費が持ち直した。一方、農業分野では最大の輸出国である中国でアフリカ豚コレラ(ASF)が流行し、飼料用大豆の輸出が急減するなど逆風も吹いており、本格回復まで時間がかかりそうだ。

穀物の輸出はブラジル経済を支えていた(8月、北部パラ州)

前年同期比では1.2%増だった。ブラジル政府は11月に2019年の成長率の見通しを0.9%と、従来予測から0.05ポイント引き上げている。

インフレ率が歴史的な低水準にあるなか、家計支出が前期比で0.8%増と堅調だった。ブラジル中央銀行が7月から利下げを再開し、政策金利が過去最低水準にあることも寄与した。9月から勤続年数補償基金(FGTS)と呼ばれる退職金や失業保険に相当する資金を前倒しで引き出せるようにしたことも消費を下支えした。設備投資など固定資本形成も2.0%増と好調だった。

一方、輸出は2.8%減で、3四半期連続のマイナスとなった。隣国アルゼンチンの通貨危機や1月に発生した鉱山ダム事故の影響に加え、輸出全体の約3割弱を占める中国向けの輸出が失速していることが大きい。中国でアフリカ豚コレラが流行し、豚の飼育頭数が減少したことで飼料用の大豆の需要が急減した。

大豆・大豆加工品は対中輸出の3分の1を占める。3月から前年実績を割り込むようになり、7~9月は前年同期比37.8%減と落ち込んだ。1~10月でも同26%減で、17年実績も下回る。

米国と中国の貿易摩擦が激化するなか、ブラジル産の大豆は漁夫の利を得る形で対中輸出を増やしていたが、特需が収束した形だ。農業分野のコンサルティングを手掛けるアグロコンスルチは「19~20年度のブラジルの中国向け大豆輸出は10%減少する」と分析する。

ブラジル政府は豚肉の輸出増加を進めるが、中国向けの豚肉の輸出総額は大豆・大豆加工品の40分の1にすぎない。19年のブラジルの対中輸出は3年ぶりに前年実績を割り込む可能性がある。

中国に次ぐ輸出国である米国との貿易にも暗雲が垂れ込める。トランプ米大統領は2日、ブラジルとアルゼンチンに対し「大幅な通貨切り下げをしている」として突如、両国から輸入する鉄鋼とアルミニウム製品に追加関税を課すと表明した。

米州大陸ではブラジルの鉄鋼会社が自国内で生産した鉄鉱石をもとに半製品を米国に輸出し、米国企業が加工して建設現場や自動車工場に供給するサプライチェーンが構築されている。これらの鉄鋼半製品はブラジルの対米輸出額の9%を占める。

親米を公言するブラジルのボルソナロ大統領は「必要であれば、トランプ氏と話す。私は彼と対話のチャネルを持っている」と述べるが、トランプ氏との個人的な関係が通商交渉にどこまで寄与するかは不透明だ。今回、トランプ氏は関税引き上げの理由について「米農家に好ましくない」としており、米国と競合するブラジルの農業を狙ったとの懸念もある。

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