NATO、「中国の脅威」協議 トランプ氏「強大化に対処」

トランプ政権
北米
2019/12/3 21:19
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【ロンドン=中村亮】北大西洋条約機構(NATO)は3、4日の首脳会議で「中国の脅威」について協議する。欧州域内の港湾や通信などのインフラに中国の関与が強まり、米欧の軍事協力に支障を及ぼすとの危機感がある。トランプ米大統領は3日、「強大化した中国に対処する」と述べた。米欧を射程に入れるとみられるミサイル開発を進めていることも懸念材料となっている。

トランプ米大統領(右)は3日、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長と面会した(ロンドン)=ロイター

トランプ氏は3日、首脳会議に先だってNATOのストルテンベルグ事務総長と会談した。ドイツの軍事費負担が少ないと批判し、マクロン仏大統領がNATOについて機能不全であることを示す「脳死状態」と断じたことについて「侮辱的だ」と非難した。トランプ氏の発言は米欧の結束の揺らぎを象徴する。

首脳会議では中国への対応が主要議題の一つになる。NATOは1949年に旧ソ連への対抗を目的に創設されたがトランプ氏は「70年間で世界は大きく変わった」と指摘。「中国が非常に強大化した」と説明し、NATOも対処が必要だとの考えを表明した。NATOはロシアへの対抗やテロ対策に続く重要課題に中国政策を位置づける構えだ。

ストルテンベルグ氏は中国が米欧を射程に入れる大陸間弾道ミサイル(ICBM)や新型の極超音速ミサイルの開発を進めていると指摘。「中国の台頭がもたらす影響に対処する必要がある」と訴え、米欧で連携を深める考えを強調した。

NATOには欧州域内で中国の存在感が増し、安保に悪影響を及ぼすことへの懸念がある。中国の経済圏構想「一帯一路」に欧州の10カ国以上が協力覚書を結んだ。11月には中国が運営権を握るギリシャのピレウス港の拡張で両国が合意し、イタリアの港湾事業にも中国が関与する見通しだ。デンマーク領グリーンランドでは中国が空港改修などに意欲を示したとされる。

インフラは有事の際に軍事的な戦略拠点になる可能性がある。フランスのマクロン大統領は10月下旬の英誌のインタビューで南欧諸国がインフラを中国に売却することについて「ばかげている」と断じた。関係者によると、NATOはEUなどと協力して中国投資への警戒を訴える方針だ。

通信インフラにも警戒が広がる。米政府高官によると、トランプ大統領は首脳会議で次世代通信規格「5G」の整備をめぐり、中国の通信技術のリスクを考慮すべきだと呼びかける。米政権は中国が有事の際に通信を遮断したり、軍事情報を盗んだりするリスクがあると主張する。

ただ中国の脅威について加盟国が共通認識を持つのは容易ではない。欧州委員会は3月の報告書で中国を「構造的なライバル」と位置づける半面で「中国と対話を深める」とも明記した。中国を「修正主義勢力」とみなして経済・安保で徹底的に対峙する米国とは隔たりがある。東欧や南欧諸国は中国の経済支援をテコに経済浮揚を目指す思惑があり、中国との対立を望まない。

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