最大の台風来れば大阪府1割浸水 高潮想定、府が公表

関西
社会・くらし
2019/12/3 20:06
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大阪府は3日、過去最大規模の台風が大阪湾に接近し高潮が発生した場合、府の面積の1割強にあたる約2万1千ヘクタールが浸水する恐れがあるとの想定を公表した。南海トラフ巨大地震による津波の浸水想定の2倍近い。6月の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の会場となった人工島・咲洲(さきしま)や関西国際空港第1ターミナルの大半が浸水すると予測した。

府は今回の想定をもとに、市町村にハザードマップの作成や避難方法の検討などソフト面の対策を促す。

政府は2015年施行の改正水防法に基づき、20年をめどに最大規模の高潮を想定した浸水区域を公表するよう都道府県に求めている。府は1934年に史上最大の勢力で高知県・室戸岬付近に上陸し、高潮などで約3千人の死者を出した室戸台風と同等の910ヘクトパスカルの台風を想定した。

関西地方に大きな被害をもたらした18年9月の台風21号では潮位が2.8メートル上がったが、今回の想定では5.3メートルと算出された。

G20の会場となった国際会議場「インテックス大阪」、大阪府咲洲庁舎などがある大阪市住之江区の人工島・咲洲は大半が浸水。最大5メートル程度が浸水する地域もある。

泉佐野市などにまたがる関西国際空港は、第1ターミナルや関西空港駅がある1期島のほぼ全域が浸水すると想定。第2ターミナルがある2期島は防潮堤の効果で小規模の浸水にとどまるとみている。

2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の会場で、府・市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の予定地でもある人工島・夢洲(ゆめしま、同市此花区)は、島東部のコンテナヤードなど一部を除きほとんど浸水しないという。

府は13年、南海トラフ巨大地震が発生した際の津波浸水被害想定を公表。府内の浸水想定面積を約1万1千ヘクタールとした。今回の想定では淀川に面している北区や淀川区など内陸部でも広範囲で浸水被害が出るとしている。

吉村洋文知事は3日、記者団に「最大の被害を想定すると、ハード整備ではカバーしきれない。(高い場所へ逃げる)垂直避難などソフト面の対策により力を入れていきたい」と述べた。府内の各自治体は今後、浸水想定区域をもとにハザードマップの改定を進める。

病院など危機感

大阪市住之江区の人工島・咲洲など、大阪府の被害想定で大規模な浸水が予測された地域では危機感が広がった。

昨年9月、台風21号で1階が浸水し、防水板などの設置を検討中の咲洲病院(同区)。府が3日に公表した被害想定について、担当者は「非常に厳しい内容で想定外だ」と驚く。「歩くのが困難な患者もおり、職員とともに3階以上に避難する必要がある」と指摘。「1階にある医療機器は使えなくなる可能性がある」と身構えた。

咲洲の高級ホテル、ハイアットリージェンシー大阪の担当者は「今後の防災訓練に高潮のケースを盛り込むなどし、外国人客も含めスムーズに避難誘導できるようにしたい」と話した。

第1ターミナルの大半が浸水するとされた関西国際空港は、昨年の台風21号で滑走路が浸水し、護岸のかさ上げや防潮壁の整備を進める。運営する関西エアポートの担当者は「まずは今やっているハード面の対策を完成させたうえ、防災機能の強化に取り組み続けたい」と話した。

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