南ア、マイナス0.6%成長 7~9月 国営企業改革に遅れ

中東・アフリカ
2019/12/3 19:01
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【リヤド=木寺もも子】南アフリカ政府統計局は3日、2019年7~9月の国内総生産(GDP)の実質伸び率が前期比年率でマイナス0.6%だったと発表した。世界経済の減速で鉱物資源の生産が減少したことが主因。国営企業の経営難が低迷する経済の足を引っ張る。国営企業に対する巨額の支援は、景気てこ入れの財政出動の手足も縛っている。

賃上げやリストラ反対を訴える南アフリカ航空の労働組合委員ら(11月15日、ヨハネスブルク近郊)=AP

成長率は比較的高い伸びをみせた4~6月の3.2%から再びマイナスに転落した。産業別では鉱業がマイナス6.1%と落ち込んで全体の足を引っ張った。プラチナや石炭の生産が減少した。製造業もマイナス3.9%と振るわなかった。

運輸・通信は5.4%減で、落ち込み幅は1993年以降最大となった。建設業は5四半期連続のマイナス成長だった。企業の設備投資は95億ランド(約700億円)減少した。金融などはプラス成長だったが、けん引力は弱かった。

統計発表後、ランドは対ドルで一時約0.8%下げた。市場は0.1%程度のプラス成長を予測していた。

南ア経済の混乱に拍車をかけているのが国営企業の問題だ。

南アフリカ公営企業省は1日、破綻の危機が伝えられる国営南アフリカ航空について「今のままでは存続できない」との声明を発表した。南ア航空では11月、賃上げやリストラ計画を巡って労働組合が約1週間にわたるストライキを実施し、財務内容が急激に悪化。大手旅行会社が同社の航空券の取り扱いをやめる事態になっていた。

2009年から約9年続いたズマ政権下で汚職や縁故主義がはびこった南アの国営企業は、軒並み経営の危機にある。中でも最大の問題として知られる電力会社エスコムは、4000億ランド以上の債務を抱える上、国内シェアの9割以上を担いながらしばしば計画停電に追い込まれ、安定した電力供給ができずにいる。

国営企業は南アの国家財政も圧迫する。財務省によると、19~20年度(19年4月~20年3月)のエスコムへの支援額は490億ランドで、国家予算の3%近くを占める。同年度の財政赤字はGDP比で5.9%に上り、景気浮揚のための財政出動もままならない。

政府は19年の成長率を0.5%と予想する。資源バブルで5%を超えた00年代半ばからの失速は著しい。増える若年人口を吸収できず、失業率は30%近い。「構造改革が遅れれば経済と社会状況はさらに悪化する」。11月下旬、南アフリカ経済についての審査を終えた国際通貨基金(IMF)は声明で、国営企業の改革を繰り返し要求した。

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