相次ぐ想定外の災害 デジタル対策には消費者負担増も

環境エネ・素材
2019/12/3 22:15
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インフラ各社がデジタル技術で設備の保守などを効率化する背景には、電力やガスの自由化などで競争環境が激しくなり、収益が厳しくなっていることもある。ただ設備の寿命を延ばしても将来的には抜本的な更新が迫られる。想定を超える災害が相次ぎ、追加の対策を求められる局面でもある。老朽化する生活インフラの維持・更新は、電気料金の引き上げといった消費者の負担増につながる可能性もある。

千葉県の鉄塔や電柱の倒壊が相次いだ9月の台風15号では最大瞬間風速が50メートルを超えた。耐風基準の40メートルを大きく上回ったことから国は強度を高める方向で検討している。基準の強度が高まれば設備増強が必要で、そのコストは電気料金に跳ね返りかねない。

水道も人口減少で料金収入が減っている。水道事業を担う地方自治体のうち、水道水をつくる原価が販売単価を上回り、原価割れしている比率は3割にのぼると厚生労働省はみている。2018年12月に成立した改正水道法では財務状況が悪化する自治体に代わり、民間企業が水道事業を運営することが可能になった。だが、民間に委託した結果、海外ではパリなど水道料金が値上がりして市民の反感を買ったケースがある。

インフラ事業の自由化や民営化は企業のノウハウなどを生かしたり、競争により、料金の引き下げを促したりする政策だった。実際、電力やガス大手の一定顧客は新規参入者に流れ、値下げ合戦も激しい。

一方で災害のレベルが高まり、安全対策の投資負担は膨らみかねない状況にある。料金水準を抑えながらインフラが維持できるのか、制度や考え方を改める必要があるのか。日本のインフラは難題に直面している。

(栗本優)

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