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コンサート動員力、1位は嵐 星野源と米津玄師が躍進

日経エンタテインメント!

右肩上がりを続けるコンサート市場。『日経エンタテインメント!』では公演数と会場規模からアーティストの「動員力ランキング」を算出した。トップは嵐の181万人、躍進したのは中堅男性ソロアーティストの星野源と米津玄師、またデビュー3年以内の若手も確実に成長している。

18年の順位の「-」は50位圏外

音楽業界において、年々コンサート市場の重要性が増していると言われるなか、今年活躍したアーティストは誰なのか。2019年に開催済みのコンサートと、年末までのスケジュールが発表済みのコンサート(10月中旬時点)の会場収容人数を合計し、各アーティストの「年間コンサート動員力」を算出、ランキングにした(詳しい調査基準は記事の最後を参照)。この「動員力」は公式発表の「動員数」とは異なるものの、コンサートの公演会場の規模からアーティストの集客力を推し量る上での指標と言える。

嵐が前人未到のツアー

181万人でトップに立ったのは、8年連続開催となる5大ドームツアー(東京、大阪、名古屋、福岡、札幌)を行った嵐。昨年の11月から約1年間にわたる全50公演の「ARASHI Anniversary Tour 5×20 」をスタートし、来たる12月25日に千秋楽を迎える。期間外ではあるが、昨年のツアー分も入れると254万人と、1度のツアーとしては前人未到の記録となる。松本潤が考案した巨大なスケルトン式のムービングステージのように常に新しい試みを取り入れ、日本最高峰のコンサートと言われてきた彼らの20年の歩みも味わえるツアーとなっている。

2位は111万人の三代目 J SOUL BROTHERS。4月から11月にかけて約半年にも及ぶ全24公演の5大ドームツアーを開催した。昨年は今市隆二、登坂広臣の両ボーカルが初のアリーナツアーに挑戦し、パフォーマーのELLYもラッパー・CRAZY BOYとしてツアーを行うなどソロ活動が中心だった。その1年で磨き上げてきたものを、各自がぶつけるかのように今回のツアーではソロコーナーも充実。グループ、個人共に成長が見られるステージを披露している。

3位は73万人のAAA。昨年の9位からジャンプアップし、13年の調査開始以来初となるトップ3に入った。今年は6月から8月にかけて、全国8会場のアリーナを回るファンミーティングツアー計21公演を実施。歌唱コーナーはもちろんのこと、ゲームコーナーなどでは普段見られないメンバーたちのじゃれ合う姿が人気となっている。11月16日からは3年連続となる4大ドームツアー(東京、大阪、名古屋、福岡)を行い、来年デビュー15周年を迎える彼らの歌やパフォーマンスを心ゆくまで堪能できる場となったようだ。

トップ10を見ると、昨年は安室奈美恵と福山雅治が入ったが、今年は全組がグループのアーティストとなった。強さを見せたのはボーイズグループ。なかでも4組が入ったジャニーズと、2組のLDHが目立つ。ジャニーズ勢で嵐に続いたのは、61万人で5位となったKis-My-Ft2で、5都市13公演のドームツアーを開催した。7位は関ジャニ∞の59万人。夏に5大ドームツアーを実施し、11月6日から来年4月にかけて2000人規模の全国ホールを回る47都道府県ツアーを行う。8位のHey!Say!JUMPは、11月末から年始にかけて4大ドームツアーを開催中だ。LDH勢では三代目 J SOUL BROTHERSに加えて、今年初の5大ドームツアーを開催したGENERATIONSが56万人で、ついにトップ10入りを果たした。

動員力は小数第1位までが同数のアーティストは、小数第2位以下を参照してランキングした。18年の順位の「-」は50位圏外

また海外勢トップとしては、11月9日から5大ドームツアーを開催している東方神起が9位にランクイン。女性陣では2年連続となるドームツアーを行った乃木坂46が唯一のトップ10入りとなった。10位以下に目を向けても、グループのアーティストは強く、50組中42組と8割を超えている。なお、今年トップ10に入るには最低55万人が必要で、ドーム公演だと約10公演が目安。トップ50に入るボーダーラインは17万人で、アリーナに換算すると約10公演となる。

中堅ソロの星野・米津が躍進

ベテランアーティストの強さは変わらず。今年デビュー40周年を迎えたサザンオールスターズは、メットライフドームも加えた6大ドームツアーを開催し、65万人で4位に。DREAMS COME TRUEは4年に1度のベスト曲ツアー「DREAMS COME TRUE WONDERLAND」を行い、11位につける。ちなみに、トップ50に最年長でランクインしたのは、今年72歳となった小田和正(42位)。昨年5月から始まった全国ツアーの延長戦となるツアーを開催し、9会場で22万人の動員力を誇る。

今年の調査で目立ったのは、デビュー10年未満の中堅ソロアーティストの躍進だ。ボーイズグループや女性アイドルグループに比べると、ソロアーティストに関しては松任谷由実といったベテラン勢もしくは、Nissy(AAA・西島隆弘)のようなグループからのソロデビュー組が圧倒的に強く、新陳代謝がこれまであまり見られなかった。トップ50に入ったソロアーティストは全8組と人数としては決して多くないものの、常連組やベテラン勢を脅かす、中堅組が確実に成長している。

その筆頭は、ソロアーティストの中で初のトップとなった、星野源(10年デビュー)。昨年12月にリリースし、43万枚を売り上げるアルバム『POP VIRUS』をタイトルに掲げ、初の5大ドームツアーを開催。昨年の圏外から16位へと一気に駆け上がった。13年デビューで、初のトップ50入りをしたのは米津玄師(43位)。昨年末に『NHK紅白歌合戦』でテレビ初歌唱を披露して世間の話題をさらった勢いそのままに、1月から「脊椎がオパールになる頃」と銘打った、初のアリーナツアー8カ所16公演を開催した。

デビュー3年以内の若手アーティストたちの活躍も目を見張るものがある。昨年日本デビューした韓国発の13人組SEVENTEENは、昨年に続き2度目となるアリーナツアーを開催し、昨年の44位から14位へ急上昇。動員力は19万人から44万人へと急伸した。TWICE(17年デビュー)も初となる東京、大阪、名古屋でのドームツアーなどで39万人となり、昨年の50位から19位へと順位を上げている。昨年デビューのKing & Prince(21位)は、今年もアリーナツアーを実施、7都市32公演を行い、昨年より動員力が約10万人アップした。トップ50に初登場したのは、LDH所属で、17年にデビューした16人組男性グループのTHE RAMPAGE(24位)。初となるアリーナツアーで全国13会場を回った。

なお、惜しくもトップ50には入らなかったが、9月にメットライフドーム2デイズ公演を行い、15万人の動員力を記録したのは、ネット発の6人組の音楽ユニット・すとろべりーぷりんす。CDに関しては今年7月に初のフルアルバムをリリースした程度にもかかわらず、既にドームアーティストとなっている。

未デビューでランクインも

近年はコンサートの売り上げがCDなどのパッケージの売り上げを上回るようになった。ストリーミングの普及もあって、そもそもCDという形にこだわらないアーティストも出始めてきている。

2019年1月1日~9月29日までの間にリリースしたCDシングル(S)もしくはアルバム(A)のうち、セールスが最も大きかった作品を「タイトル」、累計枚数を「セールス」として記載。調査期間は2018年12月31日~2019年9月29日(サウンドスキャン調べ)

表は、コンサート動員力トップ10のアーティストが、19年にリリースしたシングルもしくはアルバムで、最もセールスが大きかったものを記載している。100万枚を超えているのは、ベストアルバム『5×20 All the BEST!! 1999-2019』がダブルミリオンを達成した嵐と、23枚目シングル『Sing Out!』が129万枚を記録した乃木坂46の2組のみだ。

CDの売り上げは必ずしもアーティストパワーに結びつかない時代に突入しており、AAAは2.5万枚のセールスながら73万人の動員力を誇っている。そして4位に入ったサザンオールスターズのように、今年CDをリリースしていないアーティストも多数いる(最新リリースは、18年のアルバム『海のOh,Yeah!!』)。また49位に入ったジャニーズJr.のSixTONESに至っては、CDデビューはまだしておらず、来年1月の予定だ。

まさに日本の音楽業界のビジネス構造が変わってきていることが見て取れる結果となった。

【調査基準】
●2019年1月1日~12月31日までの、主要アーティストの単独公演をピックアップ。各会場のチケットが完売したと仮定し、弊誌が設定した収容人数を合計して、「コンサート動員力」とした。
●上記期間に開かれる有料の国内単独歌唱公演が対象。複数アーティストが出演する公演(ゲスト・前座は除く)やフェス、握手会、学園祭などは対象外とした。
●歌唱がメインのファンクラブイベント(有料)はカウントする。
●「めざましライブ」のようなパスポート付きのコンサートはカウントの対象としない。
●台風などでキャンセルとなった公演はカウントから外した。
●10月中旬時点で公式発表されていない公演は含まない。

(ライター 中桐基善)

[日経エンタテインメント! 2019年12月号の記事を再構成]

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