半導体、試される回復力 業界団体が20年予測を下方修正

エレクトロニクス
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北米
2019/12/3 16:28
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半導体市場が回復力を試されている。主要メーカーで構成する団体、世界半導体市場統計(WSTS)は3日、2020年の市場規模が4330億ドル(約47兆円)と、19年に比べ5.9%拡大するとの予測を発表した。次世代通信規格「5G」の関連需要を見込むが、6月の予測(4343億ドル)に比べると小幅の下方修正で、過去最高だった18年の水準への「V字回復」は遠のいた。

19年の市場規模予測も12.8%減の4089億ドルと、6月予測(4120億ドル)に比べ下方修正した。半導体市場は「シリコンサイクル」と呼ばれる景気変動を繰り返してきた。19年の減速は17~18年の高い成長の反動があるとはいえ、減少率はリーマン・ショック後の09年(9%減)を上回る公算が大きくなった。

20年は主要国で5Gの普及が進み、スマートフォンや基地局関連の需要が半導体市場の回復をけん引すると期待されている。WSTSはスマホなどの頭脳を担う「ロジック半導体」の市場成長率を6.5%と見込んでおり、19年のマイナス成長から反転を見込む。

主要企業でも明るい見通しが目立つ。米通信半導体大手のクアルコムは11月、5Gスマホの20年の出荷台数が1億7500万~2億2500万台になるとの見通しを発表した。クリスチャーノ・アモン社長は「20年1~3月から出荷量が拡大する」と話す。

クアルコムや米アップル、中国の華為技術(ファーウェイ)などを顧客に持つ半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は19年10月の月次売上高が前年同月比4.4%増と5カ月連続の増収で、20年は5Gを追い風にさらなる伸びが見込まれる。

足元は基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の更新に伴うパソコン需要の拡大も半導体の需要を押しあげている。インテルは11月中旬、19年初めから起きていたCPU(中央演算処理装置)の供給不足がしばらく続く見込みだと顧客に伝えた。

だが、半導体メモリーの市況低迷が市場全体の足を引っ張っている。WSTSは19年のメモリー市場を前年比33%減の大幅マイナスと予測。20年は回復に転じるが成長率は4.1%にとどまるとみる。18年以来の急速な値下がりは収まってきたが、各社が17~18年に進めた大規模な増産投資をまかなう需要の増加はまだ見通せず「(代表的なメモリーの)DRAM市況は来年春ごろの回復となりそうだ」(アナリスト)との見方が多い。

足元ではメモリーが主力の韓国サムスン電子が市況の反転を見越し、中国西安市の既存工場へ生産設備を導入するなど明るい兆しもある。ただ、他メーカーへの波及はまだ目立っていない。東京エレクトロンの常石哲男会長は「21年3月期の春から(メモリーメーカーの)投資回復が見込まれるが、ピークだった18年の水準に戻るには2~3年かかる」とみる。

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