ナジブ被告、起訴事実を全面否定へ 巨額汚職巡り初証言

東南アジア
2019/12/3 15:24
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【クアラルンプール=中野貴司】マレーシアのナジブ前首相は3日、政府系ファンド「1MDB」の巨額汚職事件を巡る裁判で、被告人として初めて証言した。ナジブ被告は1MDBが自らの支配下にあったとの検察側の見立てを否定した。4日以降の証言でも資金の不正流用を全面的に否定する見通しだ。検察側の尋問も予定されており、ナジブ被告の主張を切り崩せるかが焦点となる。

1MDBの裁判の証言のために出廷するナジブ被告(3日、クアラルンプール)=ロイター

ナジブ被告は3日、クアラルンプール高等裁判所で開かれた公判で、高裁に提出した陳述書に沿ってマレー語で証言を開始した。「1MDBの特定の幹部の任命に関与したことはない」などと述べ、1MDBを私物化し不正に資金を引き出す意図はなかったと強調した。

ナジブ被告の弁護士は証言に先立って、起訴事実である4200万リンギ(約11億円)を不正に受領した事実はないことを今後の証言で立証すると述べた。陳述書は200ページを超えており、ナジブ被告が証言を終えるだけで数日間かかる見通しだ。

2018年5月の政権交代まで首相だったナジブ被告は、マハティール政権発足後に1MDBの汚職事件に関連して合計42の罪で起訴された。裁判は19年4月以降、順次進んでおり、3日の公判は被告側の初の反論の機会となった。ナジブ被告は自ら最初の証人となり、身の潔白を世論に訴える法廷戦術を採った。

今後の公判では、一連の不正流用は側近だった実業家ジョー・ロー被告などが主導し、自らは関知していなかったと強調する。検察側が主犯格のジョー・ロー被告をまだ逮捕できていない中で、複雑な資金の流れを把握する立場にはなかったと主張する戦略だ。

被告側が強気の姿勢を貫く背景には、マハティール政権の求心力が低下し、野党がにわかに攻勢を強めていることもある。11月中旬の南部ジョホール州の下院補選では野党連合の候補が与党連合の候補に大勝した。ナジブ被告は投開票日に、当選が決まった野党候補と手を取り合い、存在を誇示した。マレー系の間でナジブ被告は一定の人気を保っており、3日の裁判でも支持者が高裁前で激励した。

1MDBの裁判は被告側が反論を終えた後、20年以降に順次判決が出る見通し。有罪でも無罪でも検察、被告側のいずれかが控訴するのは確実で、裁判は長期化するとみられる。仮に複数の有罪判決が確定すれば、66歳のナジブ被告にとって事実上の終身刑となる可能性がある。

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