次世代スパコン「富岳」、理研の神戸拠点に搬入開始

関西
科学&新技術
2019/12/3 15:14
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次世代スパコン「富岳」の最初の計算機が理研に搬入された(3日、神戸市)

次世代スパコン「富岳」の最初の計算機が理研に搬入された(3日、神戸市)

神戸市にある理化学研究所の計算科学研究センターで3日、次世代のスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」の搬入が始まった。富岳は今年8月に停止したスパコン「京(けい)」の後継機で、すでに撤去された京と同じ場所に設置され、2021年にも運用が始まる。

この日搬入されたのは、計算機を収納した筐体(きょうたい、ラック)6台で、大きさは横幅が85センチメートル、奥行きが140センチメートル、高さが約2メートルで、重さは1台約2トンになる。理研と共同で富岳を開発する富士通が石川県かほく市にある子会社で製造し、前日の2日にトラックで神戸に向けて出荷していた。

午前10時50分ごろに計算科学研究センター3階にある計算機室への搬入作業が始まり、約5人の作業員によって台車に乗せられた筐体が1台ずつ慎重に運び込まれた。20年6月までに約400台の筐体が順次搬送され、その後サーバーなど周辺機器の搬入、組み立てやソフトの調整作業などを終えたあと、供用を始める予定だ。

理研の計算科学研究推進室の辛木哲夫調査役・広報ディレクタは「富岳のプロジェクトが始まってから5年の歳月を経て、第1号筐体が入ってきて大変喜ばしい。多くの人に利用してもらえるようしっかり準備を進めたい」と抱負を述べた。

富岳は大学などの研究機関がシミュレーション(模擬実験)や、人工知能(AI)といった新分野などの研究で活用する予定。革新的な創薬などによる健康長寿社会の実現や、地震・津波や異常気象などに対する防災、高性能の部品や材料の開発による産業競争力の強化といった課題に取り組んでいく。

また富岳が設置される理研の拠点は、神戸市などが整備する「神戸医療産業都市」のエリアに位置し、京と同様、神戸における次世代医療の研究開発に生かすことが期待されている。

富岳は富士山の異名で、標高日本一の富士山のような高い性能と、広い裾野のようなユーザーの広がりを期待して命名された。京とほぼ同じ約1100億円の国費を投じて開発し、京の最大100倍以上という計算速度を目指している。

またスパコンは性能の向上に伴い消費電力の膨大さが課題となっているが、富岳は高い省エネ性能も目指している。11月には、富岳の試作機が省エネ性能の国際ランキングで1位になったことが発表されている。

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