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東京パラリンピック 共生社会を実現する契機に
第6回日経2020フォーラム、三菱電機・杉山社長ら講演

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2019/12/5 2:00
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日経2020フォーラムで講演した三菱電機の杉山武史社長(左)と清水建設の井上和幸社長

日経2020フォーラムで講演した三菱電機の杉山武史社長(左)と清水建設の井上和幸社長

日本経済新聞社は11月19日、2020年東京五輪・パラリンピックを機に、障害者や高齢者が活躍できる社会にしていく際の企業の役割を考える「第6回日経2020フォーラム」を東京・大手町の日経ホールで開いた。「パラリンピックから見える共生社会のビジョン」がテーマで、三菱電機の杉山武史社長と清水建設の井上和幸社長が講演したほか、パラ支援などについて活発に議論した。

■諦めぬ心の大切さ学ぶ

三菱電機社長 杉山武史氏

三菱電機の杉山社長

三菱電機の杉山社長

東京五輪・パラリンピックが開催される2020年度に、三菱電機は創立100周年を迎えます。これまでのご支援の恩返しの一つの形として20年の東京大会に向けた社内プロジェクトを13年12月に起こし、社会貢献活動の一つとしてオリパラの機運を高める活動を進めてきました。「障害のある方もない方も、あらゆる人がお互いを尊重し認め合う共生社会の実現に貢献する」ことを目標にしました。

具体的な取り組みでは、まずトップアスリートの採用です。オリパラを目指すアスリートをこれまでに9人採用しました。

次に、障害者スポーツの支援や普及活動です。練習場所が少ないという声を受け、神奈川県にある研究所の体育館の耐震工事に合わせ、バリアフリー化しました。現在では関東車椅子バスケットボール連盟に所属するチームの練習場所などとして提供しています。

社員向けには「心のバリアフリーセミナー」を実施しています。障害のある方や高齢者の方らに対し、適切な配慮とサポートができるよう、見守り方や声のかけ方などを学ぶものです。社員からは「自分の意識を変えるよい機会になった」などといった声が寄せられています。

不可能を意味する英語の「impossible」の「i」を大文字にしてアポストロフィーをつけると「I'm possible(可能)」になります。一見不可能に思えたことも、考え方や見方を変えたり、工夫したりすることで解決の糸口を見つける考え方です。これは障害者スポーツに携わる方だけでなく、我々ビジネスの世界に身を置く者にも必要な考え方だと思います。決して諦めてはいけない。私はそのように理解し、パラリンピックからの学びとして大切にしていきたいと考えています。

これらの活動から得られた考え方は、20年以降も当社の活動のベースに置いていきます。障害者スポーツの観戦・応援を通じ、諦めない心や、工夫と努力の大切さをアスリートから再確認しました。心のバリアフリーセミナーでは相手が必要としていることに心を寄せ、適切な配慮やサポートを提供することを学びました。こうした姿勢を業務に生かすことで、三菱電機ならではの価値やサービスの創出につなげていきます。

パラスポーツの支援活動から得たこのような考え方を20年以降の企業遺産、レガシーとして実践し、活力とゆとりある社会に貢献する企業として成長していきたいと考えています。

すぎやま・たけし 1956年岐阜県生まれ。79年名大工卒、三菱電機入社。14年常務執行役、17年代表執行役副社長。18年から現職。

■屋内もバリアフリーに

清水建設社長 井上和幸氏

清水建設の井上社長

清水建設の井上社長

5月に新しい長期ビジョンを発表し、2030年の社会に提供したい価値を「レジリエント(強靱、きょうじん)」「インクルーシブ(包摂)」「サステナブル(持続可能性)」という3つのキーワードで表現しました。このうち人に優しい施設やまちづくりを通して健康・快適に暮らせる「インクルーシブな社会の実現」について話したいと思います。

LCVと呼ぶ、施設の建設だけで終わるのではなく、施設やインフラのライフサイクルの価値を向上させる事業に取り組んでいます。その一例が視覚障害者らが快適に目的地に移動できるようにする音声ナビゲーションシステムです。

視覚障害者が実際に街に出て、買い物や食事、スポーツ観戦などを楽しむことはまだ難しいのが現実です。点字ブロックなどハード面のバリアフリー化は進んでいます。屋外では全地球測位システム(GPS)を使った案内システムが進化していますが、屋内ではまだまだ実現していません。

そのため施設内のバリアフリー化の実現に向け、14年にシステム開発を始めました。施設内のビーコンとクラウド上の図面にスマートフォンを通信させ、歩行ルートを音声で案内。これまで5~10メートルほどあった位置の把握精度が1.5~2メートルになり、視覚障害者の方の白杖(はくじょう)の誤差の範囲内となりました。

17年には三井不動産と組み、都内の日本橋室町地区で実証実験しました。その後、スマホアプリとして一般公開し日本橋コレド室町などで実用化を進めています。例えば「コレドのお店に行きたい」と言えば、ビルの車寄せに迎えに来た車が自動でお連れし、下車後に施設内の店舗に案内することを可能にするものです。近い将来、横浜のみなとみらい21や都内の豊洲地区で自社展開する不動産開発事業などでこのようなシステムを展開していきます。

清水建設は総合建設業として唯一、東京2020大会のオフィシャルサポーターとして協賛活動を開始しました。1964年の大会では国立代々木競技場などを施工しました。今回は有明体操競技場を建設して先ごろ完成しました。

2030年に目指す社会の実現には、全ての人々が能力と特性を発揮して活躍することが不可欠です。建設会社はこれまでのように単に美しい、立派なものを建設すれば良いというわけではありません。これからは全ての人々が暮らしやすい建物や街並みをつくり、包摂性のある社会や生活を支えたいと考えています。

いのうえ・かずゆき 1956年東京都生まれ。81年早大院修了、清水建設に入社。15年に取締役専務執行役員、16年から現職。
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