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先住民族による捕鯨再開、米国で検討 保護団体は反対

(更新)

【ニューヨーク=関根沙羅】米西部ワシントン州で先住民族による捕鯨の再開が検討されている。同州西部のオリンピック半島に住むマカ族は、米海洋大気局(NOAA)に対し、捕鯨を一時停止する法律の適用除外を求めている。米紙ロサンゼルス(LA)・タイムズによると、NOAAが許可すれば、早ければ2020年末にも捕鯨が開始される。

マカ族は05年、コククジラの捕鯨を再開するため、NOAAに対して捕鯨を一時停止する海産哺乳類保護法の適用除外を申請していた。これに対しNOAAは19年4月、条件付きで20年から10年間で最大20頭の捕鯨を許可する勧告を発表。米海洋漁業局に対して同勧告に関する公聴会を開くよう指示した。

LAタイムズによると今年11月に開催された公聴会には、マカ族の代表者や政府関係者、専門家らが参加し、捕鯨再開の必要性や影響に関して議論した。公聴会を管轄した判事は20年1月にもNOAAに対して見解を提出する予定。NOAAは一般からの意見公募の後、捕鯨許可に関する最終判断を下す。

マカ族は伝統的な捕鯨文化を持ち、長く生存のために捕鯨に従事してきたが、1920年代には商業捕鯨の拡大によるコククジラの絶滅を危惧し、自主的に捕鯨を中止した。

生息数の回復などを背景に94年にコククジラが絶滅危惧種法に基づく絶滅危惧種から外されたため、99年には連邦政府による許可のもと捕鯨を再開し、コククジラ1頭を捕獲した。だが、その後環境保護団体などから米政府による捕鯨再開の影響に対する評価が不十分との指摘があり、捕鯨許可の判断が再検討されていた。

LAタイムズによると、捕鯨再開に反対する環境保護団体などは、気候変動などでコククジラの生態へのリスクが高まっていると指摘。気候変動の影響や大量死の原因が解明される前に捕鯨再開を認めることに懸念を示している。

捕鯨の国際機関である国際捕鯨委員会(IWC)は1982年に商業捕鯨の一時中止を決定しているが、北米やロシアの一部の先住民族には捕獲枠を設け、捕鯨を認めている。米国では、海産哺乳類保護法の適用から免除されているアラスカ州の先住民族が捕鯨を行っている。

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