日産内田社長「反論許される風土つくる」 就任会見

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2019/12/2 23:45
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日産自動車の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は2日の就任記者会見で「異論や反論が許される風土をつくる」と述べ、企業文化の改革に注力する考えを強調した。日産は元会長のカルロス・ゴーン被告に続き西川広人前社長も報酬問題で辞任した。集団指導体制に移行しつつ迅速な意思決定を維持し、企業統治(ガバナンス)改革の徹底を目指すが、課題はなお山積している。

記者会見する日産自動車の内田誠社長兼CEO(2日、横浜市西区)

内田氏は日産の企業風土について「(ゴーン体制下では)できないことをできると言わせていた」と述べた。拡大路線を進めるために社員が過大な目標設定を迫られ、目先の成果を確保するために無理を重ねてきたとの指摘だ。一般社員に限らず、経営面でも将来に向けた投資を十分にしないといった影響が出たと分析した。

関潤副最高執行責任者(COO)も2日の記者会見で「モノを作る現場と売る現場、経営層との間に大きな隔たりを作ってしまった」として、社内の一体感を高める必要があるとした。

拡大路線の無理が表面化した象徴が主力の北米事業だ。販売奨励金を使う実質的な値引きでブランド力が低下し、いっそう売りにくくなる悪循環が続く。日産は足元で販売奨励金の削減に取り組むが、同業他社に比べるとなお高水準だ。魅力的な新型車を投入し「バーゲン車」のイメージを払拭する必要がある。

アシュワニ・グプタCOOは「販売奨励金に頼った販売を行わず、20年以降は魅力満載の新車を投入していく」考えを表明した。内田氏も反転攻勢に向けた最も重要な柱は、新商品や新技術を軸にした成長戦略との考えを示し「計画通りしっかりと新車開発を行う体制をつくる」などとした。ただ、今後の新車投入の具体的な計画は示さなかった。

新車開発は数年単位の時間が必要となるため、業績回復の特効薬としてリストラ策に頼らざるを得ない。日産はゴーン時代にインドやインドネシア、ブラジルなど新興国で相次ぐ工場建設などに積極投資したが、想定ほど販売がついてきておらず、18年度の工場稼働率は平均69%と「閉鎖の目安」とされる7割を下回った。

7月には世界での生産能力を1割減らし、全従業員数の10%相当の1万2500人を減らすと発表した。最近では、ゴーン時代に敷いた拡大路線の象徴でもある新興国向けの小型車ブランド「ダットサン」で、20年中にもロシアや東南アジアでの生産・販売から撤退する方針を固めるなど、投資効率を踏まえた経営判断に着手し始めた。

1日付で発足した新たな経営陣は内田氏をグプタCOOと関潤副COOが支える「3頭体制」をとる。グプタ氏は事業全体を統括、関氏は人員削減を含む構造改革の実行と商品の責任を担い、内田氏が全体の責任を持つ。

集団指導体制は意思決定の速度が遅くなるとの指摘があるが、役割分担を明確にすることで迅速な判断ができるようにしたと説明した。

逮捕を受けて解任されたゴーン被告の後任としてトップに立った西川前社長も報酬問題を巡り辞任を余儀なくされた。2代続けての不祥事により日産ブランドは大きく傷ついた。

「日産は非常に厳しい環境にある。私は社長として覚悟を決めた」。ゴーン被告逮捕から丸1年続く混乱のさなか、「火中の栗」を拾うことになった内田氏にとって、現時点で具体策をほとんど示せなかったのはやむを得ない面もある。ただ、空費した時間を取り戻すには就任直後からアクセルを全開に踏み込み、具体的な業績回復の道筋と成長戦略を早期に示す必要がある。(小泉裕之)

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