留学生、埼玉県内企業で働いて 官民で接点模索

南関東・静岡
2019/12/2 19:08
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埼玉県内で外国人留学生を雇用しようとする動きが広がっている。人手不足が課題となる中、中小企業の雇用情勢は厳しくなるばかり。一方、県内の大学などは留学生受け入れを拡大させており生徒総数は愛知県や神奈川県を上回る全国6位の水準にある。地元企業との接点をつくり官民で模索し、人材確保のほか、海外展開の足がかりとする。

グローバル人材育成センター埼玉も留学生向けの説明会などを開き、地元企業への就職を後押ししている(11月、さいたま市内)

秩父地域インバウンド協議会や1市4町で構成する秩父地域おもてなし観光公社などは2020年1月18日と25日、日本語学校などに通う留学生を対象に秩父地域を巡るツアーを開く。それぞれ1泊2日のプログラムで、定員は20人ずつ。地元の日本酒「武甲酒造」の酒蔵やワイン製造の「兎田ワイナリー」などを巡り、いちご狩りなどを体験してもらう。外国人の採用を希望している企業を紹介したり、交流したりする説明会も開く。

秩父地域ではインバウンド誘客に力を入れており、外国人観光客が増えている。一方、人口流出が急速に進み、地元事業者の人手不足は深刻だ。インバウンド協議会の町田啓介会長は「働き口としての地域の情報発信にも力を入れたい。観光と雇用の両面で地域の活性を促す」と意気込む。

一方、日本貿易振興機構(ジェトロ)埼玉支部は、海外進出を目指す県内企業の商品開発や改良で、外国人留学生の知識を生かしてもらうことを目指す。19年度内にも、交流を図るイベントを開催する予定で、県内の大学に協力を呼びかける。

例えば、イスラム圏への輸出・進出を検討する食品製造企業に対し、イスラム教徒の留学生から、ハラル対応商品の改良点や販売戦略について母国の文化や価値観などの視点を踏まえた「生きたアドバイス」をもらう。

中小企業にとっては海外の展示会に出展する前のテストマーケティングとして活用できると同時に、海外進出に向けて県内大学に通う留学生との接点を持てる。外国人留学生に地元企業を知ってもらい、進路の選択肢となれば、将来的な雇用確保にもつなげられる。

埼玉県国際交流協会内のグローバル人材育成センター埼玉も留学生の就職を支援しており、県内企業へのインターンシップの参加者を募っている。

日本学生支援機構によると外国人留学生の数は年々増加傾向で、卒業後の進路として日本での就職を希望する留学生も64.6%(17年度調査)を占める。特に埼玉県の留学生数(1万2097人、18年5月1日現在)は全国で6番目に多く、企業側からも海外展開などを見据えて外国人人材の需要は高まっている。

政府も留学生の国内就職率を現状の3割から5割に引き上げることを目指している。ジェトロ埼玉の塩野達彦所長は「卒業後、日本で働きたくても就職活動など日本特有の仕組みになじめず、機会を逃す学生もいる。交流の機会は企業と留学生双方にとってメリットとなる」と話している。

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