IAEA、グロッシ事務局長就任を承認 対イラン厳しく

ヨーロッパ
2019/12/2 19:00
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【ジュネーブ=細川倫太郎】国際原子力機関(IAEA)は2日、特別総会を開き、ラファエル・グロッシ氏の新事務局長就任を承認した。在ウィーン国際機関アルゼンチン代表部の大使だったグロッシ氏は、米国の強い支持を受けて就任が固まった経緯がある。それだけに、米国と敵対するイランの核開発問題で厳しい姿勢を示すとみられている。

グロッシ氏はイランへの査察を厳格に実施すると主張する=ロイター

3日付でIAEAトップの事務局長に就任する。任期は4年間。グロッシ氏は軍縮・核不拡散が専門の外交官で、核関連技術から国際機関の組織運営まで幅広い経験を持つ。

「非常に優先度が高い課題だ。(イランと)建設的な関係を築く必要がある」。承認後に記者会見したグロッシ氏はこう述べ、近くイランを訪問する方針を示した。グロッシ氏は公正かつ厳格にイランの核施設を査察・検証すると主張してきた。前事務局長の故天野之弥氏が率いていた時よりも、IAEAとイランの関係は緊張する可能性がある。

大きな理由の一つがグロッシ氏と米国の緊密な関係だ。米国は事務局長選で「申し分のない候補」(エネルギー省のリック・ペリー長官)として同氏を強く支持した。

外交筋によると、10月にあった35理事国による選挙では、米国が理事国に書簡を送り、グロッシ氏支持を迫った。グロッシ氏が米国の意向を受けた言動を取れば、IAEAとイランの対立が激しくなる可能性がある。

既に両者の間には摩擦が生じている。

イランは従来、IAEAの加盟国として、ルールを守れば核開発は正当だと主張してきた。だが、IAEAは11月に未申告のイランの核施設からウラン粒子を検出したと報告した。イランが秘密裏に核開発を進めているとの疑惑を深めかねない出来事だ。IAEAは情報提供が足りないとして、イランへの不満を募らせている。10月下旬には、イランによるIAEAの女性査察官の業務妨害も発覚した。

イランは2018年に核合意を離脱した米国の制裁に反発し、15年にまとめた合意の履行義務を段階的に停止してきた。20年1月にはIAEAの査察を制限する措置に踏み切るとの観測もある。イランは6日、核合意の当事国である英仏独中ロの5カ国とウィーンで次官級の会合を開く。

IAEAの査察は核合意の要で、仮に核施設の検証ができなくなればイランの核兵器製造の実態は見えなくなり、国際社会からの反発は必至だ。

グロッシ氏は核物質の保有国が軍事転用しないように点検する「保障措置」の重要性を指摘しており、就任早々、対イランを巡って神経をとがらすことになりそうだ。

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