デジタル活用前面に 規制改革推進会議、重点テーマ提示

2019/12/2 15:00
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政府の規制改革推進会議(議長・小林喜光三菱ケミカルホールディングス会長)は2日、来夏の答申に向けて検討する重点テーマを決めた。デジタル技術の進展を踏まえ、インフラ点検の効率化や交通データの開放を柱に据えた。傘下の作業部会に「成長戦略」「デジタルガバメント」を新設し、デジタル時代の規制のあり方を見直す。

首相官邸で開かれた規制改革推進会議の初会合(10月31日、首相官邸)

2日に内閣府で開いた会合で(1)技術革新への対応(2)人材育成(3)人手不足への対応(4)行政サービスの効率化――の4つの重点分野を掲げた。いずれもデジタル化を踏まえた制度改正を軸とし、データを活用した農林水産業の効率化や配車アプリによるタクシーの利便性向上など14項目を打ち出した。

目玉のひとつは成長戦略部会で議論するインフラ点検のルール見直しだ。道路や鉄道などの法定点検について、目視による原則を緩和し、ドローンや赤外線などのセンサーでの代替を可能にする。人手不足の深刻化を見据え作業効率を高める。細かいひび割れなど目視で確認しにくい不具合を見つけやすくする狙いもある。

同部会では鉄道やバス会社がもつ運行情報の開放に向けた省令改正なども検討する。各社が個別に情報提供する現状を改め、スマートフォンのアプリで各社の遅延情報を一度に調べられるサービスの実現をめざす。

デジタルガバメント部会では行政手続きの電子化を促す。現状で行政手続き全体の4割にとどまるオンライン利用率を引き上げるため、政府として数値目標を新たに設ける。マイナンバーの個人専用サイト「マイナポータル」の利用促進に向けた方策も話し合う。

小林議長は会議後の記者会見で「世界のデジタル化の進展を踏まえ、規制がどうあるべきかを見直す重要なタイミングに来ている」との認識を示した。

デジタル分野の規制改革は自民党行政改革推進本部の規制改革チームが11月下旬、政府に提言した。同チームは来夏までに見直しが必要な法令を洗い出す。座長の小林史明氏は「デジタルの切り口から規制を見直すことで、人手不足の解消や民間のイノベーションにつながる」と強調する。

一方、労働市場の流動化に向けた雇用制度改革や企業による農業参入規制の緩和といった骨太な改革は検討テーマから漏れた。政権が掲げる「アベノミクス」の推進へ、金融緩和と財政出動に頼る政策から脱却するには力不足との声も上がる。

第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「デジタルの活用で生産性向上を前向きに進める方向性は評価できる」と話す。そのうえで「本丸の労働規制改革とセットで進めなければ効果は限られる」と指摘する。

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