米IT4強で従業員数100万人超 増す発言力

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北米
2019/11/30 21:20
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従業員の発言力が経営に影響を与えはじめた

従業員の発言力が経営に影響を与えはじめた

【シリコンバレー=白石武志】アップルやグーグルなど米IT(情報技術)4強の従業員数が9月末に世界で100万人を突破した。事業領域の拡大や情報セキュリティー対策の強化などに伴い、過去5年で3.5倍に増えた。同期間の売上高の伸び率(2.3倍)を上回る組織の急拡大は人件費比率の上昇となって業績を下押しし従業員の発言力が経営に影響を及ぼす。

米証券取引委員会(SEC)への開示資料によると、9月末時点の4社の従業員数は104万4000人となり、1年前に比べ20%増加した。内訳は傘下に食品スーパ大手の「ホールフーズ・マーケット」などを抱えるアマゾン・ドット・コムが75万人で最も多く、アップル(13万7000人)、グーグルの持ち株会社のアルファベット(11万4000人)、フェイスブック(4万3000人)の順で続いた。

過去5年間で伸び率が最も高かったのはフェイスブックで、2014年9月末比で従業員数は5.2倍に増えた。SNS(交流サイト)上の不正を監視するための人材採用を続けている。人件費などの増加に伴い、2年前まで四半期ベースで50%を超えることもあった営業利益率は今年に入り30%を割り込むことが増えている。

経営を圧迫するのは金銭面だけではない。

「従業員が持つ真の力を仲間に認識させ、より多くのことをなし遂げるよう促したい」

気候変動対策を求める世界的な抗議活動に触発され、9月20日に米アマゾンの社員がストライキを起こした。主導したジャスティン・キャンベルさんは興奮気味に話す。同社の25年の歴史で初めてのストライキだ。

米シアトルなどで開かれた抗議活動に参加した社員は約1750人にのぼった。主張に耳を傾けなくては、人材が流出してしまう。ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は集会の前日、40年までに事業全体で二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにすることなどを柱とする「気候公約」の発表を迫られた。

グーグルでも人工知能(AI)技術の軍事転用に反発する従業員の声を受け、スンダー・ピチャイCEOが18年6月に戦争や兵器開発につながる開発を禁じる「AI原則」を公表した。

議決権の大部分を握る創業者や経営陣に対し、従業員の意見をくみ取った民主的な意思決定を求める動きは、フェイスブックなどにも広がりつつある。

一方、急増する雇用によって地域での摩擦も生じている。

シリコンバレーの地元不動産会社の18年のデータによると、グーグルとアップル、フェイスブック、アマゾンにマイクロソフト傘下のリンクトインを加えた5社のシリコンバレー周辺のオフィス面積は405万平方メートルで、東京ドーム87個分に相当するという。6年前の3倍に増え、同地域の利用可能なオフィスの18%を5社で占有している。

収入の高い人たちが大量に流入し不動産の価格は高騰。定職に就いているのに家賃が高騰して住まいを追い出される人がでてきた。シリコンバレーを含むサンタクララ郡全体ではホームレスの数が19年に約9700人と、2年前の調査に比べ3割増えた。

教師や消防士などの流出も目立つ。周辺の住宅問題などに取り組む地域団体「シリコンバレー・ライジング」のマリア・ノエル・フェルナンデスさんはネット大手に「下請け企業やサービス産業の労働者らの生活にも配慮する義務がある」と訴えた。

約50億ドルを投じてシリコンバレーに新本社を完成させたアップルは19年11月、周辺の住宅開発やホームレス支援などに総額25億ドルを拠出する計画を表明。ティム・クックCEOは声明の中で「多くの人々が手ごろな価格で住宅を買えなくなるのなら、私たちが進んでいる方向は持続不可能だ」と述べた。ネット大手はその影響力の大きさから、政府並みの重い社会的責任を問われている。

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