トランプ氏、5G整備で対中警戒要請へ NATO各国に
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【ワシントン=中村亮】米政府高官は29日、トランプ大統領が12月3、4日の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、次世代通信規格「5G」の整備をめぐり中国のリスクを警戒すべきだと主張すると語った。米政府は中国の通信機器メーカーが同国政府のスパイ活動に協力していると主張しており、トランプ氏は軍事機密が中国に漏洩しかねないとの懸念を示す見通しだ。
米政府高官は首脳会議でのトランプ氏の「優先課題」について中国への対応をあげた。具体的には5G整備をめぐり「(加盟国は)中国共産党によって一般市民のデータなどが吸い上げられる事態を望んでいない」と指摘。中国の通信機器メーカーに整備を委ねるべきではないとの見方を示した。港湾などの重要インフラに対する中国からの投資にも警戒が必要だと指摘した。
NATOは10月下旬の国防相理事会で、通信インフラの整備で加盟国に求める共通の安全要件を改定することで合意した。5Gを含む通信インフラの脆弱性の検証などを各国に求めるもので中国を念頭に置いた措置との見方が多い。首脳会議でも共通要件の改定を確認する見込みだ。中国政府はスパイ活動を一貫して否定している。
トランプ氏はNATO首脳会議で軍事費負担を国内総生産(GDP)の2%以上に引き上げる目標を着実に達成するよう各国に改めて求める。首脳会議に合わせ、フランスのマクロン大統領やドイツのメルケル首相らとの2国間会談も予定している。