トランプ氏、アフガン和平に一転意欲 外交成果狙う
タリバンと交渉再開

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2019/11/29 18:40
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28日、アフガニスタンのガニ大統領(左)と会談したトランプ米大統領(アフガニスタン東部)=ロイター

28日、アフガニスタンのガニ大統領(左)と会談したトランプ米大統領(アフガニスタン東部)=ロイター

【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は28日、アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンとの和平交渉に意欲を示した。9月に「協議は死んだ」と断じていた立場を一転。和平交渉を進めてアフガン駐留米軍を縮小し、2020年の大統領選で外交成果として訴える思惑が透ける。

トランプ氏は28日、アフガン東部のバグラム空軍基地を予告なしに訪問した。アフガン情勢に関し「政治的解決が必要だ」と演説。同国のガニ大統領との会談ではタリバンとの和平交渉再開を言明し、「タリバンは和平合意を非常に望んでいる」とも指摘した。

タリバン関係者は日本経済新聞の取材に、米国と和平交渉再開に向けた協議を今週開いたと明らかにした。トランプ氏が言及した交渉再開はこの協議をさしている可能性がある。米外交筋によると、米国はタリバンに影響力を持つパキスタンを介して協議再開を探ってきた。複数の米メディアは米国とタリバンの代表者が10月にパキスタンで接触したと報じていた。

トランプ氏は9月上旬、タリバンが米兵に奇襲攻撃をしかけたと非難し、最終盤にさしかかっていた交渉を一方的に打ち切った。「(タリバンとの協議は)死んだ」として再開は困難との見方が広がっていた。

トランプ氏が立場を一転させた理由は、タリバンが拘束していた米国人らを19日に解放したことが考えられる。ポンペオ国務長官は声明でアフガン戦争の政治的決着に向けた「有望な兆候」と評価していた。トランプ氏はこれまでも北朝鮮やトルコが米国人解放に応じると対話に傾いてきた。

トランプ氏が見据えるのはアフガン駐留米軍の縮小・撤収だ。28日も約1万2千人とされる規模を8600人に減らしたい意向を示した。米軍削減の正当化には和平交渉を進めるのが得策とみているようだ。

米政府関係者によると8600人はオバマ前政権末期の水準に相当する。米軍削減が実現してもトランプ氏は自ら増やした規模を元に戻すにすぎない。だがトランプ氏は「米国第一」に沿って米軍を減らしたと訴えれば、20年の大統領選に向け支持獲得につながるとみているようだ。

米軍縮小はリスクを伴う。タリバンが米国の求める停戦に応じるかは見通せず、過激派組織「イスラム国」(IS)もアフガンでテロを繰り返す。アフガン政府軍が治安維持能力を向上させる前に米軍が減れば地域情勢が不安定になる。米軍内には縮小のペースやタイミングを慎重に検討すべきだとの意見が目立つ。

トランプ氏の予告なしアフガン訪問は米軍との関係修復の意味合いも大きい。トランプ氏は戦争犯罪の疑いがあった海軍特殊部隊員の処遇に介入した。反発したスペンサー海軍長官を事実上解任すると、他の複数の米軍高官も介入に不満を漏らすようになったとされる。10月にはシリアからの米軍撤収を突然宣言し、後に撤回した。

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