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VRやアーカイブ 首里城再建、デジタル技術を生かせ

火災で焼失した首里城(那覇市)の再建をデジタル技術で支援する活動が広がり始めた。市民から集めた写真や画像データを使って首里城を3次元(3D)モデルで復元し観光資源に活用したり、関係資料や証言を集めてデジタルアーカイブとして保存したりする取り組みだ。30日で火災から1カ月。関係者は「市民が前を向くきっかけをつくりたい」と意気込む。

「写真の数が多いほど色や形が鮮明になります」。11月下旬、東大大学院の研究室。川上玲特任講師(39)がパソコン画面に再現された首里城の立体模型をクリックすると、建物が上下左右に回転し、視点が次々と切り替わった。

川上さんらが取り組むのは「みんなの首里城デジタル復元プロジェクト」。観光客らが撮影した首里城の写真をつなぎ合わせて、火災前の姿を立体的に再現するという。完成した3Dモデルを応用すれば、現地を歩きながらVR(仮想現実)空間を楽しむこともできる。川上さんは「減少が懸念される観光客を呼び戻す観光資源になるはず」と期待する。

プロジェクトにはスペインやフランスなどから22人の技術者らが参加。パリ・ノートルダム寺院の3Dモデル作成に取り組む専門家も加わった。

5日に開設した専用サイトを通じて集まった写真や画像データは28日時点で2万3312枚、投稿者は2347人。うち1割以上は海外からだ。目標は100万枚だが、10万枚あれば精緻な模型ができるという。来年3月末までに3Dモデルを制作し、サイトで公開する計画だ。集めた画像データなどは沖縄県内の自治体に寄贈する。

市民からは写真とともに「最後の家族旅行で訪れた思い出の1ページです」といったメッセージも寄せられており、サイトでも紹介する予定だ。川上さんは「人々の心に残る首里城を体験し、再建に前向きに取り組む気持ちになってほしい」と力を込めた。

歴史や映像の専門家らでつくる市民団体「沖縄デジタルアーカイブ協議会」は17日、首里城復元に関する記録資料や証言をデジタル化し、県民と広く共有することを目指して「首里城アーカイブ基金」を設立した。

基金を活用して首里城に関する資料や映像、復元に関わった人物の証言などを広く収集し、インターネットで公開。首里城の再建議論に活用するだけでなく、首里地区の観光コンテンツとしての展開も目指す。

寄付の目標額は1000万円。すでに火災当日の映像を託す動きもあるという。真喜屋力会長(52)は「首里城が再建されるまでの間、デジタルアーカイブが歴史や文化をつなぎ、多様な取り組みの起点になるだろう」と話した。

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