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高校側安堵と懸念 国立大、民間試験活用相次ぎ見送り

大学入学共通テストでの英語民間試験の活用見送りを受け、多くの国立大が2021年春の個別の入試で民間試験を使わない方針を明らかにした。受験機会が不公平になるとの懸念などが理由で、高校側は「受験生が不利益を受けずに済んだ」と受け止める。民間試験の活用には「英語を読む・聞く・書く・話す」の4技能を評価できるとの期待もあり、「スピーキングなどの力を重視する流れが止まる」と危惧する声も聞かれた。

一定水準以上の民間試験の成績提出を出願資格としていた高知大は、文部科学省の見送りを受けて「活用しない」と決めた。担当者は淡々とした様子だ。

共通テストでは受験生が20年4~12月に受けた成績を大学入試センターが集約し、各大学に提供するシステムの運用が予定されていた。

ただ民間試験の会場は都市部に偏り、検定料がかかるため家庭の経済状況が受験しやすさに影響する。高校からは「不公平だ」との声がやまず、文科省は1日にシステム運用を断念して民間試験の導入を見送った。

国のシステムがなくても、個別に受験生から成績を取り寄せて合否判定などに使うことはできるが、別の国立大の担当者は「民間試験は公平性を保てないと国が認めた。課題を払拭できない限り使えない」と明かす。

「これから独自の活用制度を構築する時間はない」「大量の成績を一大学では処理できない」といった声も上がった。

見送り後も活用するとした大学はこれまでも独自に民間試験を活用してきた大学が目立つ。佐賀大はこれまで通り、共通テストと民間試験の成績を比較して高い方を使う方法を継続する。民間試験を受けなくても出願は可能で、受験格差には配慮しているという。

「公平性の問題を大学が理解し、高校生に不利益がでないようにしてくれた」。全国高等学校長協会で大学入試対策委員長を務める石崎規生・東京都立世田谷泉高校長は、多くの国立大が活用しないとしたことに安堵する。

入試への英語民間試験の導入は英語の4技能(読む・聞く・書く・話す)をまんべんなく測る狙いで進められ、高校教育を変える入試改革の一環と位置付けられていた。

岡山中学校・高等学校(岡山市)で、英語を教える林秀俊教諭は話したり書いたりすることを重視する授業を行う。林教諭は「共通テストで活用されることもあり、4技能に熱心に取り組む先生が増えた」と指摘する。「(民間テストの導入見送りで)この流れが止まらないか心配だ」と話している。

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