どんなセンサーで何を「見える化」したいですか?
川合尊・日本特殊陶業社長 経営者編第8回(12月2日)

未来面
2019/12/2 2:00
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読者の皆さんは第六感をお持ちでしょうか。人間は一般に視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感があり、それ以外の感知能力が第六感と言われています。もし第六感があればどのようなことを知ってみたいですか。

なぜ、そんなお話をするかというと、日本特殊陶業は目に見ないものを感知するセンサーも作る会社なのです。主力は自動車を動かすエンジンに使われる点火プラグですが、ガソリンの燃焼時の排ガスに含まれる酸素濃度や窒素酸化物などを検知するセンサーも作っており、ガスという見えないものを測って数値化しています。

我が社はセラミックスの研究に長年取り組んでいて、酸素センサーなどにも使われています。エンジンの排ガスは1000度を超えることもあり、過酷で特殊な環境の中でセンサーが機能しないと効率よくガソリンを燃やすことができなくなります。世界中で年々強化されていく排出ガス規制に対応して環境問題の改善に寄与してきました。

世の中にある様々なセンサーは私たちに色々なモノを「見える化」「数値化」することで社会をより良くしてくれています。社名に「特殊」があるのは、特殊な場所で使われ、特殊な機能を持つセンサーを作ることにもつながります。

そこで読者の皆さんに伺いたいことがあります。「どんなセンサーで何を『見える化』したいですか」。

エンジンの中で鍛えられたセンサーの技術は今、多方面で使われ始めています。例えばスタートアップ企業と組んだ水質センサーは、魚類の陸上養殖で使うことを検討しており、水中のアンモニア濃度や温度などを測定しクラウドに上げ、水質の管理に貢献できると考えています。

エンジン内で活躍する日本特殊陶業の酸素センサー

エンジン内で活躍する日本特殊陶業の酸素センサー

また呼気センサーは人のはく息に含まれる一酸化窒素の濃度を測定することで、ぜんそくの管理指標にも使われ、脳の血流をセンシングするデバイスの研究開発にも取り組んでいます。医療分野と自動車産業は遠く離れているように見えますが、これまでもセラミックス製の人工骨を作っていて、もっと貢献できないかと医療分野に参入しました。

阿吽(あうん)の呼吸という言葉がありますが、お互いの気持ちや考え方をつかむセンサーのようなものがあるからだと思います。人の気持ちが分かったら、平和な社会がやって来るかもしれませんね。

ノリタケカンパニーリミテド、TOTO、日本ガイシと我が社の森村グループ4社が独自のノウハウを持ち寄って家庭用燃料電池の新会社を設立し、12月から事業を始めます。

私たちの回りには数え切れないほどのセンサーが活動しています。日々の暮らしを支えるために、もっとセンサーが活躍する場所があるはずです。「どんなセンサーで何を『見える化』したいですか」。素晴らしいアイデアをお待ちしています。

川合尊・日本特殊陶業社長の課題に対するアイデアを募集します。投稿はこちらから。

■編集委員から

今回、川合尊社長との初めての取材だったので下調べのためにネットで社長の"足跡"を検索するとすぐに目に飛び込んできたのが川合さんも含めて日本特殊陶業の技術者4人が執筆した論文「内燃機関の燃焼制御用空燃比センサ」でした。今から20年以上も前の若き研究者として活躍していた川合さんの姿が垣間見えます。

筆者には技術的なことは分かりませんが「結言」のところでこう締めくくっています。「更に多岐にわたる用途への(中略)センサーの展開が期待されている」。もうそのころから日特にはセンサーへの熱い思いがあったことがうかがえます。

その思いを今でも持ち続けていることが確信できたのはこの取材中でした。インタビューは日経CNBCでも放送されることになっていてテレビカメラが回っていたのですがセンサーの可能性について語る川合社長はよどむことも詰まることもなく、一気に語ってくれました。腹落ちしてないとそうはいきません。

読者の皆さんには川合社長を呻(うな)らせるようなセンサーの未来を考えてみてください。

(編集委員 田中陽)

◇   ◇

今回の課題は「どんなセンサーで何を『見える化』したいですか?」です。皆さんからの投稿を募集します。締め切りは12月12日(木)正午です。優れたアイデアをトップが選んで、12月23日(月)付の未来面や日経電子版の未来面サイト(https://www.nikkei.com/business/mirai/)で紹介します。投稿は日経電子版で受け付けます。電子版トップページ→ビジネス→未来面とたどり、今回の課題を選んでご応募ください。

未来面にこれまで寄せられた優れたアイデアを閲覧できる「Mirai アーカイブズ」(http://miraimen.nikkei.co.jp/)も開きました。経営者をハッとさせたり、うならせたりしたアイデアの宝箱を開いてみてください。

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