沖縄・奄美の希少生物、地域一体で守れ

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2019/12/3 2:00
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(左上から時計回りに)ホントウアカヒゲ、オキナワキノボリトカゲ、アマミヤマシギ、アマミノクロウサギ、ヤンバルクイナ、青い個体のハナサキガエル

(左上から時計回りに)ホントウアカヒゲ、オキナワキノボリトカゲ、アマミヤマシギ、アマミノクロウサギ、ヤンバルクイナ、青い個体のハナサキガエル

密猟者が動きやすい夜間に林道を見回る国頭村森林組合の海老沢有功さん(手前)と環境省の自然保護官。不審車両や希少種の生息状況などGPS機器で正確に場所を記録する(沖縄県国頭村)

密猟者が動きやすい夜間に林道を見回る国頭村森林組合の海老沢有功さん(手前)と環境省の自然保護官。不審車両や希少種の生息状況などGPS機器で正確に場所を記録する(沖縄県国頭村)

猛烈な雨が降る11月の夜、沖縄県国頭村の山道をゆっくりと車が走る。亜熱帯林が両脇に生い茂る道にはハナサキガエルがちらほらと姿を見せた。環境省が希少種の生息環境を守る目的で2012年から国頭村森林組合に委託するパトロールだ。

同村を中心とした沖縄本島北部のやんばる地域は、政府が20年に世界自然遺産登録を目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」に含まれ、推薦地にはヤンバルクイナやリュウキュウヤマガメ、イシカワガエルなどの絶滅危惧種が90種以上生息している。昨年は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関に登録延期を勧告されたが、再び挑んでいる最中だ。

再挑戦に向け、最優先で見直されたのが対象区域。生態系保全のために飛び地の大半を解消し、やんばるでは米軍北部訓練場跡地の約3700ヘクタールが新たに編入された。登録を確実にするため、力を入れているのが地域ぐるみのパトロール活動だ。

希少種の密輸対策研修会で絶滅危惧種のリュウキュウヤマガメの特徴を確認する全日空グループの空港関係者(那覇空港の貨物ターミナル)

希少種の密輸対策研修会で絶滅危惧種のリュウキュウヤマガメの特徴を確認する全日空グループの空港関係者(那覇空港の貨物ターミナル)

ベルギー税関の貨物検査で見つかった絶滅危惧種のイボイモリ。生息地には戻せず動物園で保護されている(沖縄市の沖縄こどもの国)

ベルギー税関の貨物検査で見つかった絶滅危惧種のイボイモリ。生息地には戻せず動物園で保護されている(沖縄市の沖縄こどもの国)

人工知能(AI)を使用したアプリで撮影すると希少種かどうか自動で判別される(那覇空港の貨物ターミナル)

人工知能(AI)を使用したアプリで撮影すると希少種かどうか自動で判別される(那覇空港の貨物ターミナル)

希少種は1匹100万円単位で売れるものもあり、相次ぐ密猟や密輸が深刻な問題となっている。環境省によると、一度外部に持ち出された希少種は微量でも細菌と接触した可能性があり、他の生物への感染を避けるため同じ生息地には戻せない。パトロールは生息状況の確認に加え、密猟者らを監視する目的もある。

奄美大島を現地調査する国際自然保護連合(IUCN)の専門家(鹿児島県)

奄美大島を現地調査する国際自然保護連合(IUCN)の専門家(鹿児島県)

世界自然遺産候補地の「やんばるの森」(沖縄県国頭村)

世界自然遺産候補地の「やんばるの森」(沖縄県国頭村)

政府が再び世界遺産への推薦を決めた今年は、密猟を取り締まる警察とも連携した巡回を始めた。環境省やんばる自然保護官事務所の横山愛那さんは「行政だけでなく、地元の人たちが希少種の価値を知って守る活動を継続できるような体制を作ることが大切だ」と話した。

(文 秦明日香 写真 沢井慎也)

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