JDI、マイクロLEDを開発 画面の明るさ強み

経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は28日、次世代ディスプレーの有力候補とされる「マイクロLED(発光ダイオード)」を試作開発したと発表し、報道陣に公開した。マイクロLEDは基板上に赤・緑・青の微細なLEDを敷き詰めて画像を表示するディスプレー。glo(スウェーデン)のLEDチップを採用した。
マイクロLEDの特徴は画面の明るさや広い視野角だ。画素が自発光する点は有機ELと同じだが、環境変化に強い無機材料を使うため構造を簡素化できるという。他には韓国サムスン電子やソニーが製品化しており、米アップルも台湾の研究所で技術開発を進めているとされる。
JDIが試作開発したパネルは大きさ1.6インチで、27万個のLEDを敷き詰めている。量産化の鍵となるLEDチップの実装技術については詳細を明らかにしなかったが、明るさは一般的な液晶パネルの10倍程度を確保した。画面の明るさを生かして、車載製品などへの採用を狙う。開発担当者は量産時期について「明確でないが、早期に量産へ持っていきたい」と話した。
JDIは同日、12.3インチの透明液晶パネルも開発したと発表した。2017年に発表した4インチ製品から大型化した。材料の改良などで光の透過率(非表示時)は通常のガラス板に近い87%まで高めた。光を吸収する通常の液晶素子ではなく、光を散乱する特殊な液晶素子を使っている。
透明パネルは他社も開発しているが、方式が違うため透過率は液晶で5~30%、有機ELで45~68%にとどまるという。開発担当者は大型化について「20インチ弱くらいまで可能と考えている」と話す。店舗内の案内板やインテリア製品などへの採用を狙う。既存の液晶の生産設備で対応でき、4インチ製品については20年度の量産開始をめざす。
JDIは27日、会社の資金を着服したとして懲戒解雇した元幹部から、着服とは別に過去の決算について「不適切な会計処理を行っていた」との通知を受けたと発表している。二転三転してきた海外スポンサーとの支援交渉もなお途上だ。28日の発表会は製品関連に限られ、こうした内容に関する説明はなかった。(龍元秀明)