メキシコ、4.8兆円の民活型インフラ計画 不況打破狙う

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2019/11/27 21:50
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【メキシコシティ=丸山修一】メキシコ政府は26日、総額8590億ペソ(約4兆8千億円)に上る民間資本を活用したインフラ投資計画を発表した。民間企業が資金を投じ、道路や港湾といった交通インフラの整備を進める。経済の低迷が続く中、景気回復の呼び水にしたい考えだが、順調に計画が進むかは不透明な部分もある。

メキシコのロペスオブラドール大統領=ロイター

計画は2020~24年までの5年間で合計147のプロジェクトからなる。7割を占める道路、港湾や空港といった交通インフラに加え、観光関連や上下水道の整備なども盛り込まれている。特に初年度となる20年に全体の半数近い計画が集中。早期に投資による雇用創出といった景気浮揚の効果の実現を求めていることがうかがえる。

ロペスオブラドール大統領は同日の会見で、「インフラ計画によって経済に大きな刺激を与えたい」と話した上で「政府と民間企業とはこれまで通り良好な関係を保っている。今回の計画でも重要な責任を果たしてくれることに感謝したい」とし、民間による投資実現に大きな期待を込めた。

しかし、計画が政府の期待通りに実行されるかは不透明だ。18年12月に発足した新政権は、緊縮策として公務員の大量削減に踏み切ったこともあり、行政手続きが遅れがちだ。各プロジェクトの具体化もこれからとみられ、計画の実行には相当の遅れも予想される。

民間企業が実際にどこまで参加するかも見えない部分がある。新政権は前政権下ですでに建設が始まっていた首都新空港のプロジェクトを一方的に中止したり、油田鉱区の入札も効果が見えないとして打ち切ったりしている。これまでの政権のように民間を重視した経済政策を何度も否定する姿に民間企業の政府への信頼も大きく揺らいでいる。

現政権が発足してからメキシコ経済は不振にあえいでいる。18年10~12月期から3四半期連続で直近の前期比でマイナス成長が続き、19年7~9月期もゼロ成長にとどまった。緊縮策を打ち出している現政権の下で公共事業への支出が大幅に減少している上に、民間の設備投資も落ち込んでおり、投資不足が雇用や消費にも影響しているからだ。

政治リスク調査の米ユーラシア・グループでラテンアメリカのシニアアナリストを務めるカルロス・ピーターセン氏は26日付のリポートで「これまで発表されたインフラ計画も深刻な遅れが生じている。企業の政府に対する信頼度も低く、投資への約束も不透明だ」と指摘。今回発表された大型インフラ計画の実現やロペスオブラドール氏の公約である経済成長率4%の達成に疑問を呈している。

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