19年度の実質成長率は0.5%、20年度も0.5%成長 NEEDS予測
米中対立の長期化で勢い欠く景気

2019/11/27 12:19
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日本経済新聞社の総合経済データバンク「NEEDS」の日本経済モデルに、内閣府が11月14日に公表した2019年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値を織り込んだ予測によると、19年度の実質成長率は0.5%、20年度も0.5%の見通しになった。

10~12月期は消費増税による駆け込み需要の反動減や相次いだ台風被害の影響で個人消費が落ち込む。住宅投資、設備投資といった民間需要も減少し、実質GDPはマイナス成長になる見通しだ。その後も海外経済の減速基調が20年にかけて続くため、輸出の回復が遅れ景気は勢いを欠きそうだ。

■前期比0.1%増――19年7~9月期

19年7~9月期の実質GDPは前期比0.1%増(年率換算で0.2%増)と小幅な伸びにとどまった。民間最終消費支出(個人消費)は前期比0.4%増だった。耐久財を中心に消費税率引き上げ前の駆け込み需要がみられたが、勢いはそれほど強くなかった。設備投資と住宅投資は前期より伸びが高まり、景気を下支えした。公需も前期比0.6%増で、国内需要全体では0.2ポイント成長率を押し上げた。

一方、外需の成長率に対する寄与度はマイナス0.2ポイントで2四半期連続のマイナスとなった。

■輸出に影落とす米中貿易摩擦

日銀公表の10月の実質輸出は前月比1.5%減少した。米国向け、欧州連合(EU)向け、アジア向けいずれも落ち込んでいる。

世界経済減速の要因となっている米中貿易摩擦は依然として不透明感が強い。米中両国は10月に中国が米国から農産品を購入することなどで部分的に暫定合意したが、その後も交渉は難航している。本予測では米中貿易協議は予測期間内には全面合意には至らず、これまで実施された制裁関税は継続すると想定した。

米中貿易摩擦の長期化に伴い世界的に製造業の生産や設備投資が停滞し、20年にかけて成長率は鈍化する見通しだ。世界経済の回復が遅れることで、日本の輸出は10~12月期以降も大幅な回復は期待できないとみている。19年度のGDPベースの実質輸出は前年度比1.3%減、20年度は同1.0%増となる見通しだ。

■設備投資は減速も増加基調は維持

足元の設備投資は堅調だが、先行きは機械投資が停滞する兆しがある。内閣府が11月11日に発表した7~9月期の機械受注統計では、設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需(季調値)」が前期比3.5%減と2四半期ぶりに減少に転じた。機械投資は外需不振の影響を受けて弱い動きとなりそうだ。一方で、ソフトウエア投資や次世代通信規格「5G」関連投資は増加が見込まれる。建設投資も首都圏の大型再開発などが当面は続く見通しだ。

GDPベースの設備投資は19年度に前年度比1.3%増となった後、20年度は減速し同0.6%増となる。

■雇用・所得環境には頭打ち感

10月の消費関連統計は悪化を示すものが目立っている。自動車販売の業界団体(日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会)が11月1日に発表した10月の国内乗用車販売台数(軽を含む)は、NEEDS算出の季節調整値で前月比27.2%減と、大きく落ち込んだ。10~12月期は消費増税前の駆け込みの反動減に加え、台風の影響なども表れる。GDPベースの個人消費は前期比1.5%減を予測している。

18年4月以降1.6倍台で推移していた有効求人倍率(季調値)が19年7月に1.6倍を割り込むなど、雇用・所得環境の改善には頭打ち感が出ている。個人消費の伸びは前回予測より下方修正となった。19年度は前年度比0.3%増、20年度は同0.4%増の見通しだ。

なお、今回のNEEDS予測は、日本経済研究センターが19年11月に公表した短期予測をベースにしている。

(日本経済研究センター 山崎理絵子、デジタル事業 情報サービスユニット 渡部肇)

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