農業を現場で知って 坂ノ途中、農家手伝いに有給休暇
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関西タイムライン
2019/12/2 7:00
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農業関連の事業を手がけるが、実際の農業に詳しい人は一握りだ

農業関連の事業を手がけるが、実際の農業に詳しい人は一握りだ

現場に行きたい、でも時間がない。それに私、経理だし……。そんな社員の学びを後押しすべく、農業スタートアップの坂ノ途中(京都市)は社員が農家の農作業や販売を手伝う際に有給休暇を取れる制度を設けた。法律で義務づけられた有休とは別に年5日取得できる。経理やIT(情報技術)など農家との関わりが薄い社員にも当事者意識を持ってもらう狙いだ。

その名も「ゴーグリーン休暇」。フルタイムで働く全社員約40人が取ることができ、初めての人は自社農場で畝は踏まないといった基本を学ぶ。農作業や農産物の販売イベントへの参加など農業を学ぶ機会であれば対象になる。

「あったらおもろいんちゃう」。小野邦彦社長の一言をきっかけに2018年春に試験的に始め、19年4月に本格導入した。同社は農家から仕入れた有機野菜を消費者に定期宅配する事業を主に手がける。ただ日常的に農家に接し農業に精通する社員は一握り。「土の匂いや植物のたくましさを感じ、農家と同じ目線に立ってほしい」(小野社長)と考えた。

鈴木雅之さんはこの制度を約10回使った。農家から野菜の収穫予定などを集める仕事だが、農家と面と向かってのやりとりはあいさつや立ち話程度。休日に農場に出かけると「疲れが取れず週明けに体調を崩すこともあった」。

「一緒に汗をかけばすぐに農家と打ち解けられる」と現場に行く意義を強調する。18年9月にはゴーグリーン休暇2日分と通常の休暇を組み合わせ、ベトナムの農場で5日間過ごした。「季節ごとに異なる農作業を経験し、農業への理解が深まった」と話す。

管理部門の社員も農作業や野菜の育ち方を知れば、クレーム対応などが円滑になるという。人事担当の松村佳江さんは「管理部門の社員も農家と知り合えば『あの人のためにがんばろう』と思える」と話す。

そこまで意義があるならば研修などの制度にすればとの疑問も湧くが、そこはスタートアップ。「あくまでも自発的に農家と知り合い、知見を深めてほしい」と社員一人ひとりの主体性を重視する。また休暇取得を習慣づけ、3割程度にとどまる有休の消化率を高める狙いもある。ただ同制度の利用は5~6人にとどまる。土臭い社員の養成には改善の余地がありそうだ。

(梅国典)

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