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新国立競技場、風呼び込み熱戦も涼しく 30日完成

2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場で、開閉会式などを行う新国立競技場(東京都新宿区)が30日、3年に及ぶ工期を経て完成する。国産の木材をふんだんに使ったスタジアムの最大の特徴は「風」。日本の伝統建築を参考に庇(ひさし)で自然の風を取り込んで涼をとる設計が施され、環境やユニバーサルデザインに配慮した次世代型スタジアムとなる。

整備事業は大成建設や建築家の隈研吾氏などのグループが手掛け、30日に事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)に引き渡される。

設計時の想定では観客席は五輪の際に約6万席、パラリンピックは約5万8千席に上る。国内では珍しく、欧州のサッカースタジアムのように3層のスタンドで徐々に勾配を急にしていく「すり鉢状」を全面的に採用。フィールドから離れた上層の席でも臨場感が損なわれないよう工夫した。

観客の暑さ対策に大きな役割を果たすのが、屋根の付け根の部分にある「風の大庇」だ。

季節に応じて吹きやすい風を想定して方位によって縦格子の間隔を調整しており、夏場は格子幅を狭くした部分に南側からの風を当てて観客席に取り込む構造になっている。風の一部は、フィールドからの上昇気流となって場内の熱や湿気を逃す役割を果たす。

大庇の下にも、スタジアムの外周にわたって全国47都道府県の木材を使った軒庇を設置。コンコースなどに風を取り込む。庇が連なる建築様式は五重塔など日本の伝統建築物にみられ、客席に空調がない代わりに自然の力を利用し会場を冷やす。風が穏やかな日もあることから、計185カ所に人工的な風を生み出すファンも設けた。

国産のスギなどの木材は、スタンドを覆って陸上トラックのそばまで張り出す巨大な屋根にも多用されている。

障害者などに配慮したユニバーサルデザインも特徴の一つ。設計時の想定では五輪での車いす席は約500席、パラリンピックは約750席。すり鉢状にせり上がる客席の裏の空間を生かしてエレベーターを上層階まで垂直に通し、スタンドの中腹など、通常のスタジアムより高い位置にも車いす席を設ける。

本体工事は2016年12月に着工し、延べ約150万人の作業員が投入された。関連工事などを含む整備費は1569億円にのぼる。資材費や人件費の上昇などの影響は受けたが、15年に設定された整備費の上限、1590億円を下回った。

新国立競技場では、12月21日に陸上男子100、200メートルの世界記録を持つウサイン・ボルト氏(ジャマイカ)や人気グループ「嵐」らが登場予定のオープニングイベントを実施。来年1月1日にはサッカーの天皇杯決勝が行われる。

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