アウディ、9500人削減 独工場の生産能力も縮小

【コペンハーゲン=深尾幸生】独アウディは26日、2025年までに従業員の約1割にあたる9500人を削減すると発表した。ドイツ国内の主要工場の生産能力も削減し、29年までに60億ユーロ(約7200億円)のコスト削減効果を狙う。新車販売が停滞しているうえ電気自動車(EV)など次世代技術開発への投資がかさむことに対応する。
人員削減と引き換えにドイツ国内の残りの従業員の雇用を29年まで保証することで従業員代表と合意した。また、電動化とデジタル化で2千人の新規雇用も生み出す。
本社を置く独南部インゴルシュタットの工場は18年に約49万台を生産したが、最大45万台の規模に縮小する。18年実績が約19万台の南部ネッカースウルム工場は同22万5千台とする。アウディは現状の生産能力を明らかにしていないが、それぞれ2割以上の能力削減になるとみられる。
両工場はセダン系の車種を多く生産するため、多目的スポーツ車(SUV)人気をうけて稼働率が落ちていた。両工場では20年以降EVの生産を始める予定で、EVがガソリン車などと比べて組み立て工程が少ないことも背景にある。
アウディは3月、22年までに150億ユーロのコスト削減を実施すると発表。管理職の10~15%削減を決めたほか、車種や仕様の削減を進めていた。目標とする営業利益率9~11%への早期復帰を目指す。
独自動車業界ではリストラが相次いでいる。14日に独ダイムラーが管理職の1割と間接部門での人員削減を発表したほか、独BMWもコスト削減策の詳細を詰めている。