原田知世ライブ「永遠の少女性」にほっこり

文化往来
アートレビュー
2019/12/1 2:00
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2018年のアルバム「ルール・ブルー」の収録曲を中心に全16曲を歌った。新曲「冬のこもりうた」は映画「すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」の主題歌だ=三浦 憲治撮影

2018年のアルバム「ルール・ブルー」の収録曲を中心に全16曲を歌った。新曲「冬のこもりうた」は映画「すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」の主題歌だ=三浦 憲治撮影

2019年4~9月に放送されたドラマ「あなたの番です」の主演で、再び脚光を浴びた女優、原田知世(52)はキャリアの豊かな歌手でもある。

デビュー翌年の1983年に主演した角川映画の主題歌「時をかける少女」がヒット。しばらくはアイドル的な色彩を帯びていたが、90年代半ばに転機を迎える。カーディガンズなど、スウェディッシュポップで世界を席巻していたトーレ・ヨハンソンがプロデュースを担当。特に97年のアルバム「I could be free」が高く評価され、清廉と憂いを織り交ぜた独特の世界を表現するシンガーに生まれ変わる。その世界に酔いしれた。

MCは多め。「(観客の反応が)ドラマではわからないけど、ライブだとみなさんの表情が見えるし、たくさん元気をもらっています」と話していた=三浦 憲治撮影

MCは多め。「(観客の反応が)ドラマではわからないけど、ライブだとみなさんの表情が見えるし、たくさん元気をもらっています」と話していた=三浦 憲治撮影

ステージ中央の彼女の隣には、作曲家・ギタリストの伊藤ゴロー。07年からタッグを組み、音楽をつくってきた盟友だ。バンドマスターでもある伊藤が醸成したサウンドは、バンドや弦楽四重奏の音色を丁寧に積み重ね、シンプルだが説得力がある。麗しい音空間の中心に原田が立っていた。透明感のある歌声が、聴衆一人ひとりの体を包みこむように響きわたった。

女優より歌手のほうが、彼女が持つ世界観が強く伝わる。永遠の少女性と呼びたくなるような、りんとした清らかさだ。90年代のヒット曲「ロマンス」や新曲「冬のこもりうた」などを披露していったが、どの時代の曲も彼女のカラーに染まっていた。歌声には体温が感じられるような不思議な温度感があり、これが曲によって微妙に変わり、繊細なアクセントになっていた。

映像や照明の演出も練られていて、独特の世界観の味わいがいっそう深まった=三浦 憲治撮影

映像や照明の演出も練られていて、独特の世界観の味わいがいっそう深まった=三浦 憲治撮影

引きこまれた聴衆は、曲間のMCのたびに我に返る。「みなさん元気かなと思ってました。できれば毎年会いたい」。飾らない言葉に心がほっこりし、会場の幸福感を増大させていた。11月19日、東京・オーチャードホール。

(諸岡良宣)

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