韓国、ASEANに活路 貿易額25%増目指す

朝鮮半島
東南アジア
2019/11/26 21:36
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26日、釜山での特別首脳会議に参加する文大統領(中)(事務局提供)

26日、釜山での特別首脳会議に参加する文大統領(中)(事務局提供)

【釜山=細川幸太郎】韓国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の特別首脳会議が26日まで釜山で開かれ、両者の貿易額を2020年に18年比25%増の2000億ドル(約22兆円)に引き上げる目標を採択した。文在寅(ムン・ジェイン)政権は日本や米国、中国との関係が冷え込むなか、6億人超の人口を抱えるASEANとの関係強化に活路を見いだそうとしている。

文氏は声明採択後の記者会見で「ASEANの発展がまさに韓国の発展につながる」と強調した。ASEAN各国向けに関税優遇などを通じて、環境対応車やロボット、人工知能(AI)技術、5G対応などの幅広い分野での貿易額を増やしたい考えだ。

韓国とASEAN10カ国との貿易額は18年に前年比7%増の1597億ドルで、韓国の貿易額全体の14%を占める。ASEAN諸国との関係を深める文政権の「新南方政策」の推進も共同声明に盛り込んだ。

文氏がASEANとの関係強化に注力するのは日本や米国、中国との関係が行き詰まっているためだ。日本とは元徴用工問題に端を発した日韓対立が激化し、米国からは駐韓米軍を巡る防衛費負担増の圧力が強まる。中国は、韓国内の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)配備になお反発している。

貿易額で上位を占める日米中との関係悪化は経済にも影響する。国内総生産(GDP)の4割を占める「輸出」は、米中摩擦の影響などで19年1~10月に前年同期比10%減となった。輸出の34%が中国(香港含む)向けで、極端な中国依存を打開するためにもASEANへの輸出拡大は喫緊の課題だった。

韓国にとっての成功例は10年間で輸出額が6倍に拡大したベトナムとの取引だ。09年にサムスン電子が携帯電話の組み立て工場を建設し、スマートフォンに搭載される半導体など部品類の供給先として輸出が増加した。ベトナム側にとっても縫製品から付加価値の高いIT(情報技術)へと産業構造の転換につながった。ベトナムは18年には68億ドルの貿易黒字を確保した。

韓国が狙う次の市場が2億6000万人の人口を抱えるインドネシアだ。ジョコ大統領は26日に釜山近郊の現代自動車の工場を視察し、同社のインドネシアへの工場建設の投資契約にサインした。同国では既にポスコが製鉄所を、ロッテケミカルが石油化学工場を建設しており、韓国企業の進出が相次いでいる。

産業の高度化を目指す他のASEAN各国からも韓国企業の進出期待が高まっている。ただインドネシアやタイなどは歴史的に日本との結びつきが強い。また同地域は中国との貿易額も大きいため、ベトナムのように韓国がASEANの他の国で存在感を高めるにはまだ時間がかかりそうだ。

韓国とASEANの首脳会議は5年に1回韓国で開かれており、今回が3回目。ASEAN各国から首脳が訪れ、文氏は各首脳と個別に会談をもうけて国際情勢や経済協力について議論を交わした。共同議長声明には南シナ海の軍事要塞化を進める中国へのけん制を盛り込んだほか、北朝鮮のミサイル発射の自制を求めた。

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