埼玉・花園IC周辺、アウトレット、農業軸に誘客

埼玉県深谷市が誘致してきた大型アウトレットモールが2022年秋、関越自動車道の花園インターチェンジ(IC)近くで開業する。隣接地にはキユーピーが手掛ける農業体験施設も同年春のオープンを見込む。農業と観光を軸に、年間650万人の来場者を目指す市の「花園IC拠点整備プロジェクト」が、いよいよ具現化してきた。

三菱地所・サイモン(東京・千代田)が開発するアウトレットモール「ふかや花園プレミアム・アウトレット」(仮称)は、17万6800平方メートルの敷地に平屋建て2万5000平方メートルの建物を建設する。ラグジュアリーブランドや国内アパレルのほか、雑貨店や飲食店など100~120店が入居する予定だ。
同社は深谷市について、(1)交通量の多さ(2)都心からの距離(3)商圏人口の3つの条件を満たしていると評価。潜在力を見込み、さらなる増設も検討する。11月初旬、深谷市との事業契約締結式に出席した同社の山岸正紀社長は「将来的には国内最大級の『御殿場プレミアム・アウトレット』の規模感にすることも視野に入っている」と表明した。
県北部の大型アウトレットモール開業は初めて。高い集客力を生かして特産物である野菜の魅力発信も強化していく。
深谷市は市町村別農業産出額(野菜のみ)が全国6位。8月には新たに野菜や農業を生かしたまちづくり構想「ベジタブルテーマパーク フカヤ」を打ち出した。
市内の畑での収穫体験やレストランで野菜を使った料理提供などを通して、観光客に市内を巡ってもらう狙いで、キユーピーの農業体験施設「深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム」が、その中核を担う。
小島進市長は「キユーピーの施設は深谷の野菜を楽しんでもらえる入り口。そこから市内を回遊してほしい」と話す。
18年には秩父鉄道と協力しプロジェクト中心地に「ふかや花園駅」を新設。交通アクセスを多様化し、車利用者だけでなく、幅広い層を誘客する布石を打った。イベントスペースや遊具を整備した「深谷テラス パーク」(仮称)も併せて開発する予定で、全体の規模は27.6ヘクタールに及ぶ。
埼玉県内は県南部に三井アウトレットパーク入間(入間市)やレイクタウンアウトレット(越谷市)などがあるものの、県北部には大型商業・観光施設がほとんどなかった。深谷市は「花園IC周辺地区は今後、県北・秩父地域の大きな拠点になる」と期待を寄せている。