外貨保険の資格創設で生保・銀行が応酬
金融取材メモ

金融最前線
2019/11/26 23:00
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外貨建て保険の販売資格の創設をめぐり、生保業界と販売を担う銀行業界が応酬を繰り広げている。外貨建て保険の販売に伴う苦情が増え続けている中で、生保側は新資格制度を信頼回復策と位置づけ、2022年春に運用を始めるロードマップを描く。一方、生保の「資格試験ありき」の姿勢に疑問を呈する銀行業界は慎重姿勢を崩さない。両業界は実効性ある防止策を示せるか。

生保協会の清水会長は、銀行と引き続き協議すると説明した(15日、東京都内)

生保協会の清水会長は、銀行と引き続き協議すると説明した(15日、東京都内)

「既存の試験の見直しで対応できないのか」

「スケジュールありきで準備を進めるのには違和感がある」

11月上旬、東京・丸の内の生保協会の会議室で議論が噴出した。生保側が全国銀行協会や全国地方銀行協会の担当者らに、外貨建て保険を販売する募集人に対する業界共通の資格制度の創設を提案したところ、反発の声が相次いだ。

生保が提示したのは、まず20年中に先行して試験制度を設けて、22年春からは資格の保有者に販売を認めるという大まかな方向性。しかし、銀行側からの納得を得ることができなかった。

外貨建て保険は銀行窓口で販売するものが大半だ。資格を設ければ、銀行の販売業務の一線を担う窓口職員が試験勉強で手間を取られるうえ、銀行側に受験料の負担も生じる。資格の創設でなく、すでにある変額保険の資格の見直しで対応すべきだと主張する。

生保協会によると、銀行窓販における18年度の外貨建て保険販売の苦情は2543件と前年度比3割増だった。販売増加に伴い苦情は増えており、国民生活センターや金融庁も問題視している。大半は為替変動による元本割れリスクなど「説明不十分」が占めるため、売り手のリテラシー向上策として資格創設が浮上した。

「課題をクリアしながら実施に向けて進めていく」。生保協会の清水博会長(日本生命保険社長)は15日の記者会見で、銀行側との調整難航を問われ、引き続き協議していく姿勢を強調した。

もっとも、新たな資格だけで苦情が減るかは未知数だ。銀行窓販で外貨建て保険の販売が伸びているのは、銀行の販売目標の設定や手数料体系との関連も大きいとされる。問題克服へ両業界の本気度が問われる。(牛込俊介)

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