さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト内を走る自動運転バス。完全無人運転中で車内には誰もいない
富士急行傘下の相模湖リゾート(相模原市)と、ソフトバンク子会社のSBドライブ(東京・港)は25日、遊園地「さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト」(相模原市)の園内で自動運転バス運行の実証実験を始めた。入園者は予約なしで無料で利用できる。
運行期間は11月25日から27日までと11月29日から12月1日までの日中。バス停に客が来れば随時運行する。入園口からアトラクション「パディントンタウン」までの園内道路約250メートルを走行する。
車両は仏ナビヤ製の電動自動運転バス「アルマ」で定員は8人。乗客がいるときは案内役のスタッフが同乗するが、運転操作はせず自動運転で運行する。乗客を乗せない回送時は完全無人運転になる。
ただし、園内道路は歩行者も通行するため、自動運転バスの速度を時速3.6キロメートルに抑えている。歩行者が飛び出したりバスの前で止まったりした場合はセンサーで検知して自動停止し、歩行者が離れたら再び発進する。
事務所には遠隔監視役のスタッフを配置。バス停の椅子に静電センサーがあり、乗車希望者が座ったら検知して遠隔監視役に通知する。スタッフがパソコンで自動運転バス配車ボタンをクリックすると、客がいるバス停まで自動的に回送される。車内外のカメラ映像も監視できる。
事務所で自動運転バスを遠隔監視する様子
SBドライブは同型車両を千葉市や東京都港区などでも実験運行した実績があり、東京電力福島第1原子力発電所構内での実用化にも関わっている。いずれの事例でも一定のトレーニングを受けた運転補助役のスタッフが同乗していたが、さがみ湖リゾートでは初めてこの人手を省いた点が特徴だ。
SBドライブの佐治友基社長は「閉鎖空間ではなく歩行者がいる場所で無人運転バスを走らせるのは当社として初めてで、日本全体でも珍しいと思う。将来的に自動運転バスを広く普及させるためのステップとしてぜひとも実現させたかった」と話した。
(日経 xTECH/日経コンピュータ 清嶋直樹)
[日経 xTECH 2019年11月25日掲載]