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宇宙ビジネス、アイデア多彩 内閣府などコンテスト

内閣府などは25日、宇宙ビジネスの事業アイデアを競うイベント「S-Booster2019」を東京都内で開いた。今回が3回目の開催で、初めてアジア・オセアニア地域からも参加を募った。衛星データ活用や宇宙旅行など多彩な分野の12組が最終審査に臨み、視覚障害者の歩行を支援するウエアラブル機器の開発チームが最優秀賞に選ばれた。

2019年春に宇宙に関係する事業アイデアを募集し、国内外から約300チームの応募があった。日本とタイで開かれた予選を通過したチームが投資家らの指導を受け、審査では5分間のプレゼンテーションで事業化に向けアピールした。

最優秀賞を受賞したチームは「センシングッドラボ」で、賞金の1000万円を獲得した。事業化を目指すのは靴の中で着用するウエアラブル機器で、足に振動を伝えるなどして視覚障害者を目的地まで導く。準天頂衛星みちびきのデータと歩行の分析を組み合わせ、数十センチ単位で危険を回避できるような誘導を目指す。

代表者の千野歩氏はホンダ社員。メンバー全員が他に本職を持ちながら開発を進めている。千野氏は「自動運転やITの専門家がいるのが強み。1年後の製品化を目指し、法人設立を検討したい」と話した。審査員を務めた宇宙飛行士の山崎直子さんは「宇宙の資産を地上の社会課題の解決に生かすのが重要だ。事業の実現を楽しみにしている」と評価した。

海外のチームからは衛星の観測データでタイの交通渋滞の解消に取り組んだり、フィリピンや日本で災害リスクを分析したりと、地域特有の課題の解決に宇宙を活用しようというアイデアが目立った。国内からは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の現役職員も出場し、小型衛星を素材の製造工場に使うアイデアや、役目を終えた衛星を中古品として取引するサービスなどを提案していた。

出場チームのメンターを務めたA・T・カーニーの石田真康氏は「アジアの企業は人工知能(AI)や5Gなど新技術を宇宙ビジネスに取り入れることに積極的で、日本の新興企業にも刺激になる」と話した。

宇宙政策を担当する竹本直一科学技術相は表彰式のあいさつで「イベントが事業化への一歩になることを期待している。政府としても宇宙ビジネスへの挑戦を応援したい」と述べた。事業化までに時間や費用がかかる宇宙ビジネスのアイデアを実現させるには、政府や大企業がスタートアップを後押しすることが必要になりそうだ。

(山田遼太郎)

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