シンガポール、偽ニュース対策法を初適用 野党党員に

2019/11/25 16:45
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【シンガポール=中野貴司】シンガポール政府は25日、偽ニュース・情報操作対策法に基づいて初の訂正命令を出したと発表した。政府系ファンドに関する野党党員のフェイスブックの投稿が虚偽だとして25日までに訂正を求め、この党員は訂正に応じた。

偽ニュース対策法の適用を発表するシンガポール政府のホームページ

シンガポール政府は偽ニュース対策法案を発表した際、対象になるのは公益を害する虚偽情報だと強調していた。虚偽情報にあたる例として「政府が隣国に宣戦布告した」「銀行が巨額の損失を出した」といった内容を挙げていた。今回の事例は政府の示していた例に比べ、公益の侵害度合いは相対的に小さいとみられ、政府の厳格な運用姿勢が浮き彫りになった。

政府の発表によると、野党の進歩シンガポール党の党員が13日、「シンガポール政府が政府系ファンドの投資決定を統制している」とほのめかす虚偽の投稿をした。政府は「政府系ファンドの個別の投資決定に影響力を及ぼしたことはない」などとして、この野党党員に訂正を求めた。野党党員も25日、フェイスブック上に「政府の要請に応じて投稿を訂正した」と書き込んだ。

偽ニュース対策法は5月にシンガポール議会で可決・成立し、10月に施行された。所管の閣僚が虚偽と判断すれば、インターネット上の情報の訂正・削除を命じることができ、違反した個人には最大10年の禁錮刑が科される。今回は野党党員が訂正に応じたため、禁錮刑などは科されないという。

進歩シンガポール党は元国会議員、タン・チェンボク氏が2019年に入り立ち上げた新党で、リー・シェンロン首相の弟のリー・シェンヤン氏も支持を表明している。20年前半にも実施される次の総選挙で、政府に不満を持つ有権者の受け皿になる可能性がある政党だ。

偽ニュース対策法に対しては施行前から、政府が何が虚偽かを判断する権限を持つことへの懸念の声が上がっていた。政府は同法を政治的に利用することはないと説明しているが、今後も野党関係者への適用が続けば、言論の自由を必要以上に制限しているとの批判が高まりそうだ。

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