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初の世界選手権で5位 板飛び込み・三上紗也可(上)

Tokyo2020
2019/11/30 3:00
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会場の視線が一身に注がれる中、三上紗也可(18、米子DC)は飛び板の前で演技の順番を待っていた。まるで自分の庭であるかのように、気ままに歌を口ずさみながら。

7月、韓国・光州で行われた世界選手権決勝。板飛び込み日本代表の三上は、初出場とは思えない強心臓ぶりを発揮した。安定した内容で準決勝を7位で通過し早々と五輪内定を決めると、最後の舞台でもノーミスの演技を連発する。勢いよく板を踏み込んでは抜群のスピード感とキレを持って入水。5本とも60点台に乗せ5位入賞を果たした。

「飛び込み人生で最高の試合」だった。一方で、演技の前後をこう振り返る。「ゾーンに入っていた。ほとんど記憶がない」。直前の歌う姿を含め、実はこれは彼女の調子のバロメーターだ。コーチの安田千万樹は言う。「練習でも調子が良いと彼女は自分の世界に入って、頭の中で音楽が流れる。あの時も会場の雰囲気をものにして、自分のリズムでやっていた」

5位に入賞した7月の世界選手権は三上にとって「飛び込み人生で最高の試合」だった=共同

5位に入賞した7月の世界選手権は三上にとって「飛び込み人生で最高の試合」だった=共同

今や武器でもある安定感を身につけたのはつい最近のことだ。3月のワールドシリーズ相模原大会。予選の演技冒頭で派手に水しぶきを上げ、大崩れしたまま最下位に沈んだ。「全部うまく入水して決めるのが目標で、想定外のことが起きると対応できなかった」

だが、トレーナーのアドバイスのもと思考法を変えると、ミスを引きずる場面がぴたりとやんだ。「失敗も含め想定内だと自分を落ち着かせると、その後の演技についてよく考えられるようになった」

2018年から板飛び込みに専念したことも完成度の高い演技作りを後押しした。17年日本室内選手権を制するなど、もともとは高飛び込みに才があったが、高校3年の春、カナダ遠征で肘の靱帯を損傷した。「もう一回チャレンジしたら大ケガする。運命の分かれ道というか神様のお告げだと思った」と安田。体への負担の少ない種目に絞ると、くしくも長所である跳躍力が生かされ、力強さが増していった。

鳥取県米子市出身。今春高校を卒業したが、大学進学や米国留学といった夢をいったん保留にしてまで、東京五輪に向けて安田とマンツーマンで飛び板と向き合う日々を送る。「五輪に出たいという一心でやってきた。(同世代を)うらやましいと思ったことはない」と三上は言いきる。

来夏を想像すると自然と顔がほころぶ。「日本人は誰も飛び込みでメダルを取ったことがない。私がその第1号になりたい」。無邪気な言葉の中に、確かな自信がにじんでいる。=敬称略

(堀部遥)

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