米、豪のレアアース採掘で協力 中国依存の脱却目指す

2019/11/25 13:13
保存
共有
印刷
その他

【シドニー=松本史】米国とオーストラリアが同国のレアアース(希土類)の米国への輸出拡大に向けた動きを加速している。豪州のカナバン資源相が今月、米国を訪問し、資源関連事業を進めるための協力で合意した。レアアースの調達における中国依存から脱却したい米国と、資源輸出の多角化を進めたい豪州の思惑が一致した形だ。

米国はレアアースの安定調達を目指す(豪州のレアアース鉱山)

「大きな進展があった。非常に満足している」。20日、ワシントンでロス米商務長官との会談を終えたカナバン氏はこう述べた。この日の会談では、レアアースやリチウムなど両国が重要鉱物と位置付ける資源関連の施設建設の計画について、米豪両国の関係機関が資金調達で協力することを決めた。

19日には米地質調査所と豪地質調査所が共同で、両国の重要鉱物の埋蔵地域や埋蔵量の調査を行うことでも合意した。2国の協力は、主に豪州での資源開発や加工を促進し、米国への安定供給につなげる狙いがある。

豪政府はレアアースに加え、電気自動車(EV)の普及で需要増加が見込めるリチウムやコバルトの輸出拡大に力を入れてきた。採掘という「上流工程」に限らず、製錬などで高い付加価値をつける「下流工程」まで豪国内で行う体制を整え、経済の底上げにつなげる戦略を描く。

一方、米国側には貿易戦争などで対立する中国に安保上重要な物資を深く依存し続けられないとの危機感がある。レアアースは一部の企業が米国内で鉱石の採掘は行うが、レアアースを分離・抽出する下流工程は中国企業が7~8割を握る。「中国が輸出を長期間止めれば、米国や他国のサプライチェーンに大きな打撃となる」。米商務省は6月、こう警告した。

米商務省の報告書は、長年の同盟国である豪州などと重要鉱物の資源探査や加工、リサイクルなどで協力すべきだと提言している。今回の米豪の協力に向けた合意には、中国をけん制したい米国側の思惑も透ける。

ただ米豪の協力だけで、鉱物の安定調達が可能になるかは不透明だ。レアアースのシェアを握る中国は「自国が得意とする鉱物を他国が生産し始めると供給量を上げて価格を下落させ、海外企業を経営難に追い込む」(豪州の資源企業関係者)可能性がある。

また、レアアースやリチウムは市場が小さいため価格変動が大きく、技術の進歩で資源そのものが不要になるリスクもある。そのため民間企業が投資をためらうケースも多く、米豪政府による資金調達の援助がどれだけ企業の開発や輸出拡大を後押しするか見極めは難しい。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]