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香港の「高度な自治衰退」 米国務次官補が憂慮

20カ国・地域(G20)外相会合に出席するために来日したデビッド・スティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は23日、日本経済新聞の単独会見に応じた。政府への抗議活動が続く香港の情勢に関して「とても憂慮している」と表明した。中国政府が軍による介入を辞さない構えを見せていることに懸念を示し、「一国二制度」に基づく高度な自治について「衰退した」との認識を示した。

スティルウェル氏は香港情勢をめぐり「平和裏に問題が解決しなかった場合に我々がどのような手段を取るべきか理解することに多くの時間を費やしている」と語った。1989年の天安門事件のように中国政府が武力でデモ鎮圧を図った場合の対応策の検討を急いでいることを示唆する発言だ。

国務省は3月に公表した香港に関する報告書で高度な自治は「衰退した」と明記した。スティルウェル氏は「中国人民解放軍が清掃活動という名目で香港の路上にいることを踏まえると別の評価を主張することは難しい」と指摘。「衰退」という評価が現在も適切との考えを表明した。

米議会は香港の人権尊重の支援などを盛り込んだ「香港人権・民主主義法案」を可決し、トランプ大統領は法案署名の是非を検討している。法案は「一国二制度」が機能しているかどうか、毎年の検証を義務づける。スティルウェル氏が香港情勢に強い懸念を示したことで、仮に法案が成立した場合には一国二制度の実態を厳しく精査することになりそうだ。

韓国が日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の延長を決めたことについて「(日米韓の安保協力に)前向きで希望を抱かせるものだと感じた」と語った。北朝鮮や中国の威嚇行動を抑止することを念頭に「日米韓は3カ国協力の便益を理解している」とも指摘し、協定延長を歓迎した。

一方で元徴用工をめぐる訴訟や、日本が韓国に課した輸出管理措置を巡る問題は残っていると指摘した。今後の日韓関係の改善をめぐっては「我々の介入は短期的な解決策にはなり得ても長期的なものにはならない」と説明。日韓が議論を主導すべきだとの立場を示した。

米国が歴史問題などがからむ複雑なトピックで片方に肩入れすればむしろ両国間の対立につながりかねない。スティルウェル氏は23日の日韓外相会談に触れて「我々は内容を知る必要はない」とも語った。

スティルウェル氏は在韓米軍の駐留経費負担をめぐる交渉にも触れた。同盟国の経済成長や軍事力向上などにもかかわらず「(負担をめぐる)取り決めはそれらの変化に追いついていなかった」と指摘。韓国に対して負担増を求めていることを示唆した。米国は在日米軍の駐留経費負担でも日本に増額を求める公算が大きい。

韓国がGSOMIAの失効を回避したことで、米国が駐留経費をめぐる負担増の圧力を弱めるとの見方もある。だがスティルウェル氏は「一つのことと別のことを関連づけることが合理的だとは思わない」と指摘。GSOMIA延長とは無関係に駐留経費の負担をめぐる交渉を進める考えを示した。

スティルウェル氏は23日閉幕した20カ国・地域(G20)外相会合に出席するためサリバン国務副長官とともに名古屋市を訪れていた。

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