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土地開発規制も、国交省検討 台風19号受け治水見直し

国土交通省は22日、各地で大きな被害をもたらした10月の台風19号など激甚化する水害を受け、新たな対策の検討を始めた。水害リスクの高い土地の開発規制、集団移転などを含む街づくりと一体化した対策作りを進める。気候変動で想定を超える降水量増加や海面上昇が懸念されるとし、インフラ整備だけでなく、様々な洪水の発生を前提にして減災や被害からの早期回復に重点を置く。

国交相の諮問機関、社会資本整備審議会に「気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会」を設置し、22日に初会合を開いた。2020年夏までに答申をまとめる。

同省はこの日の会合で、台風19号で都心部の大規模浸水を防ぐなど、ダムや堤防などのハード整備には一定の効果があったと総括。ただ今後の水害対策では「洪水発生を前提に被害を軽減し、被害から早期に回復する対策が必要」と強調した。

会合では委員を務める専門家からハザードマップでは浸水想定区域に指定されつつ、自治体の都市計画では居住誘導区域となっている事例があることなどが報告された。

その上で、将来的な人口減少や少子高齢化を踏まえ、土地利用の規制や誘導策が必要とした。浸水想定区域の新規開発の規制、河川沿いの小規模集落の集団移転の促進などを想定する。

商業施設や住宅を集約する「コンパクトシティー」を進める際も浸水想定区域を避けるなど、街づくりにも防災の視点を反映するよう求める。

台風19号では中小河川の堤防決壊や氾濫が相次ぎ、浸水想定区域外でも人的被害が出た。今後ハザードマップの策定時に、過去に人的被害が発生したことを載せるなどリスク情報を充実させるほか、緊急避難場所の確保策なども議論する。

利水ダムを治水に活用したり、都市部の大規模施設に雨水貯留施設を整備したりと、民間施設などの活用も促す。被害後の回復を早くするため、自治体や企業の事業継続計画(BCP)策定、水害保険の普及も進める。

ハード整備を巡っては過去に発生した災害に基づく従来の計画や基準の限界に言及した。気候変動による激甚化を踏まえた基準とする。

同省によると、温暖化による平均気温の2度上昇を前提とした場合、降水量は全国平均で1.1倍になり、洪水発生の頻度は2倍になると試算されている。

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