パナソニック、模索する成長への道 見えぬけん引役

エレクトロニクス
2019/11/22 18:05
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会見するパナソニックの津賀一宏社長(22日午前、東京都港区)

会見するパナソニックの津賀一宏社長(22日午前、東京都港区)

パナソニックが成長実現への道を模索している。電気自動車(EV)向けの車載電池を中心とした自動車関連事業に投資を重ねてきたが、利益に結びついていない。当面は、不採算事業の撤退や売却など「赤字事業を撲滅する」(津賀一宏社長)。リストラで捻出した経営資源を空調や照明を組み合わせた空間演出などの事業に充てるが、力不足の感は否めない。

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「既存事業の上に成長を図ろうとすると2030年の成長を描けない」。津賀社長は22日、アナリスト向け経営方針説明会前に開いた記者会見で危機感をあらわにした。

基幹事業に据えた空間演出事業は家電や電材など住宅向けで蓄えた技術をオフィスや商業施設といった非住宅にも広げる。製造業・物流業の効率化支援など、製品とソフトウエアを組み合わせたBtoBのソリューション事業も強化する。

22年3月期にこうした基幹事業のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を20年3月期見込み比で1000億円増やし、5000億円規模に引き上げる計画だ。

12年に社長に就任した津賀氏はプラズマテレビからの撤退などで業績の立て直しにめどをつけると、米EV大手のテスラと共同で車載電池の大規模生産に乗り出すなど成長戦略にかじを切った。しかし、テスラのEV量産の遅れなどで思うような成果を得られず、液晶パネルの生産撤退やテレビ事業の縮小など再びリストラを迫られている。

同社の19年3月期の連結営業利益率は5%とソニー(10%)や日立製作所(8%)に劣る。成長の柱になるはずだった車載電池など自動車関連の事業は20年3月期は440億円の営業赤字となる見通し。同社がほぼ全ての車載用電池を供給するテスラが中国・上海で工場を新設したが「今のところ中国に(車載電池の)生産拠点を構える計画はない」(津賀社長)と慎重に構えざるを得ない。

20年3月期の営業利益見通しも前期比27%減の3000億円と浮上のきっかけを見いだせずにいる。

赤字事業からの撤退や売却で22年3月期までに営業利益ベースで400億円改善させる一方、全社平均を上回る7%の同利益率をあげている空間演出などに経営資源を注ぐ。「(全社の)ビジネスモデルを単品売り切り型から変革する」(津賀社長)考えだ。

SMBC日興証券の桂竜輔シニアアナリストは「パナソニックは存在意義を暗中模索している」と指摘した。固定費削減の内訳などが明らかになったものの、「パナソニックの『ありたい姿』を提示し切れたとはいえない。株式市場の共感を得て、企業価値拡大を目指せる形に至っていない」と話す。

津賀社長は会見で「自らが社会の変化に応じて変わらないといけない」と語った。転身の道程の視界は晴れない。

(藤野逸郎)

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