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寺社が災害時支援拠点に 台風で住民避難や配給も 再評価、行政と協定増加

台風19号の被災地では自治体による支援体制などが整うまでの間、地元の寺が避難場所や支援物資の配給拠点となり、被災者の生活を支えた。専門家は「寺社は何度も災害をくぐり抜けた歴史があり、広い空間は防災拠点として活用しやすい」と指摘する。警察署が神社と災害時の利用に関する協定を結ぶ例もあり、長く「地域のよりどころ」とされてきた寺社を災害時の拠点として見直す動きが広がっている。

常勝院岩城寺での物資配給に集まる被災した住民ら(10月18日、福島県いわき市)=共同

福島県いわき市では夏井川の堤防が決壊するなどし、約3900棟の住宅が床上浸水。平中平窪地区にある常勝院岩城寺は土地が周囲より約2メートル高く、本堂が浸水を免れた。住職の妻、横山佐知子さん(56)は「近隣では床上浸水しても自宅2階などにとどまる住民が多くいた。そうした家に自治体の支援は届かなかった」と振り返る。

住民の苦境を目にした娘らが会員制交流サイト(SNS)で支援を呼び掛けると、寺に全国から食料や衛生用品などが届き、客間など約70畳がいっぱいに。物資の配給や炊き出しを受けに最大で400人以上が詰め掛けた。

自宅が被災し、配給を受けた40代の女性は「寺で同じ境遇の人と話せて心が楽になった」と話す。横山さんは「寺は法事だけでなく、普段から住民が訪れる身近な場所。本来の寺の在り方に近づけた」と胸を張った。

千葉県鋸南町竜島地区では、一時避難所に指定されていた公共施設が9月の台風15号で被災。台風19号の接近時、同地区の極楽寺は本堂などを開放し、約100人が身を寄せた。住職の伊藤尚徳さん(40)は「高齢者にとっては体育館などの避難所より安心できるのではないか」と話した。

近年は行政機関などが災害に備えて、寺社と協定を結ぶ例が増加。京都府警伏見署は5月、管内の京都市伏見区の神社、城南宮と協定を締結。庁舎が被災した場合、城南宮の施設に資機材を搬入し、署の機能を移転できるようにした。

同署幹部は「神社なら住民は移転先をすぐにイメージできる。敷地が広く、利便性も高い」と利点を挙げる。車120台分の駐車場に応援部隊の車両を受け入れたり、テントを設営したりすることを想定している。

宗教と防災の関係に詳しい大阪大の稲場圭信教授(共生学)は「東日本大震災では、約100カ所の宗教施設が避難してきた住民を受け入れた。老朽化した寺社の耐震工事や備蓄品購入を補助するなどして連携を加速させるべきだ」と語った。〔共同〕

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