全米覆う新興フィンテック企業の顔ぶれ

フィンテックがますます勢いづいている。2018年のフィンテック分野のスタートアップ企業の資金調達件数は2800件以上、調達額は前年比92%増の460億ドルで、どちらも過去最高を記録した。
メガラウンド
資金調達の大型化に伴い、19年にはこの分野で調達額が1億ドルを超える「メガラウンド」は70件を超えている。主な例は以下の通りだ。
・個人向け融資アプリの米ソーファイ(SoFi、シリーズGで5億ドルを調達)
・オンライン決済サービスのクラーナ(Klarna、スウェーデン、VCラウンドで4億6000万ドル)
・スマートフォンのアプリでサービスを提供する証券会社、米ロビンフッド(Robinhood、シリーズEで3億2300万ドル)
・住宅所有者、賃貸者向けの損害保険、米レモネード(Lemonade、シリーズDで3億ドル)
全米にはどのようなフィンテック関連スタートアップが生まれているのか。CBインサイツのデータベースを活用し、米各州で最も資金調達額の多いフィンテック分野のスタートアップを地図に示してみた。
地図に掲載されたフィンテック分野の米スタートアップの資金調達総額は95億ドルに達している。
主な企業は個人向け融資のAvant(アバン、イリノイ州、株式発行による累積資金調達額は公表ベースで6億5500万ドル)、次世代の自動車保険を提供するルート・インシュランス(Root Insurance、オハイオ州、5億900万ドル)、レストランの財務管理システムを手がけるトースト(Toast、マサチューセッツ州、5億300万ドル)、中小企業向け融資のカバッジ(Kabbage、ジョージア州、4億9000万ドル)などだ。
ここではフィンテック企業を大まかに、(1)金融サービス業界にサービスを提供しているテクノロジー企業(2)金融商品を自社で開発、販売、運営しているテクノロジー企業――と定義している。今回の分析では、14年以降に株式発行による資金調達を実施し、500万ドル以上を調達している未上場のフィンテック分野のスタートアップを対象にした。社債発行や借り入れ、信用供与枠による資金調達は除いた。
主なポイント
・米国のフィンテック分野のスタートアップで資金調達額が最も多いのはソーファイで、公表ベースで25億ドルに上る。サンフランシスコに拠点を置く同社は投資から住宅ローン、学生ローンの借り換えに至るまで多くの金融商品を扱う個人向け融資プラットフォームだ。
・2位は医療保険のオスカーヘルス(Oscar Health、ニューヨーク州、13億ドル)、3位は企業向けに請求書管理システムを提供するアビッドエクスチェンジ(AvidXchange、ノースカロライナ州、7億2400万ドル)だ。
・ユニコーン(企業価値が10億ドル以上の未上場企業)は8社。ソーファイ(企業価値48億ドル)、ルート・インシュランス(36億ドル)、オスカーヘルス(32億ドル)、トースト(27億ドル)、アバン(19億ドル)、アビッドエクスチェンジ(12億ドル)、カバッジ(10億ドル)、企業の売掛債権を買い取り、早期に資金化するC2FO(カンザス州、10億ドル)だ。
・調達額が1億ドルを超えているのは17社。支出管理プラットフォームのディビー(Divvy、ユタ州、2億5300万ドル)、行政取引プラットフォームのペイイット(PayIt、ミズーリ州、1億3300万ドル)などだ。
・調達額が1000万ドル未満なのは3社のみで、最も少ないのは企業向けに請求書管理システムを提供するアライド・ペイメント・ネットワーク(Allied Payment Network、インディアナ州、660万ドル)だった。
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