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岸・元東京三菱銀頭取が死去 バブル崩壊の逆風に挑む

金融機関
2019/11/21 22:00
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岸暁氏の長い銀行員人生でのハイライトは1998年2月から1年3カ月に及んだ全国銀行協会連合会の会長時代だろう。

元東京三菱銀行頭取の岸暁氏(1999年4月)

元東京三菱銀行頭取の岸暁氏(1999年4月)

旧東京三菱銀行頭取に就任したのが98年1月、それからわずか1カ月後に急きょ全銀協会長に登板することになった。当時会長だった旧三和銀行頭取が、銀行による旧大蔵省幹部の接待汚職事件の責任をとって任期途中で辞任したからだ。

就任後待ち受けていたのは銀行業界への強い逆風だった。

エリートコースとされていた銀行の大蔵省担当者(MOF担)の廃止、公的資金による資本注入受け入れとリストラの断行、日本長期信用銀行の破綻、金融国会への対応……。トップ就任と同時に銀行界代表として危機管理に追われることになったのだ。

リーマン危機後の世界では大手金融機関への公的資金の資本注入は当たり前になったが、当時は「不良銀行のレッテルを貼られる」といって尻込みする銀行も多かった。岸氏は業界を説得し公的資金を受け入れた。

仕事には厳しく「カミソリ岸」と行内でも恐れる人は多かったが、人情家の一面もあった。

「これを誰からとは言わず渡してくれないか」。全銀協会長時代に仕えた田中正明氏(現日本ペイントホールディングス会長)はある日、岸氏に呼ばれ現金40万円の入った封筒を渡された。接待汚職で同額の罰金を科されたMOF担向けのものだった。

クラシック音楽ファンだった。夜分に自宅に取材にお伺いすると、居間にはフルートと譜面台が置かれていたが、ついにその演奏をお聴きすることはできなかった。

(編集委員 藤井彰夫)

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