ウクライナ問題、深まる疑惑、トランプ氏追及は決め手欠く

トランプ政権
2019/11/21 21:43
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【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領の「ウクライナ疑惑」に関する米議会の公聴会が目先のヤマ場を超えた。疑惑解明のカギを握るソンドランド駐欧州連合(EU)大使が20日証言し、トランプ氏の側近がウクライナ政府に首脳会談開催などの「見返り」として、野党・民主党のバイデン前副大統領の不正調査を要求していたと明かした。

20日、米下院情報特別委員会の公聴会で証言するソンドランド氏=ロイター

公聴会は20日までに10人が証言した。下院で過半を握る民主党はトランプ氏の疑惑が深まったとして、年内の弾劾訴追へ攻勢をかける。ただ与党・共和党の造反を誘うような決定的な証言には欠け、2020年の米大統領選をにらんだ与野党の対立が深まっている。

「(見返りの要求は)トランプ大統領の望みを反映していると理解していた」。ソンドランド氏は20日の下院情報特別委員会で、トランプ氏の意向を受けて顧問弁護士のジュリアーニ氏がウクライナに見返りを求めたと主張した。

実業家だったソンドランド氏はトランプ氏に献金した功績でEU大使に起用された経緯がある。その重要人物の「見返り」発言を受け、民主党はトランプ氏の疑惑が深まったとみる。民主のアダム・シフ情報特別委員長は「収賄罪またはその他の重犯罪や軽罪に結びつくものだ」と語った。ソンドランド氏の証言が、合衆国憲法に記載されている大統領弾劾の有力な証拠になり得るとした。

バイデン氏は20年大統領選に向けた民主の指名候補争いで最有力の一人。もし見返り要求が事実なら、トランプ氏が再選という政治的利益のために外交を利用した疑いが強まる。

ソンドランド氏はペンス副大統領やポンペオ国務長官もウクライナへの調査要求などの働きかけを把握していたと説明した。ウクライナへの圧力が「政権ぐるみ」だったことをうかがわせた。

もっとも、トランプ氏が窮地に立たされたとまでは言えない。20日の公聴会でソンドランド氏はトランプ氏から直接指示を受けていないとも語った。公聴会では、共和のマイク・ターナー下院議員が「トランプ氏がバイデン氏の調査とウクライナへの軍事支援を結びつけているとあなたに伝えた人物は、この地球上に誰かいるのか」と質問。ソンドランド氏が答えに窮する場面もあった。

共和はトランプ氏の直接の「見返り要求」の指示はないとして弾劾には値しないと主張する。米紙ワシントン・ポストも「(弾劾に反対で足並みをそろえる)共和の上院議員の見解にただちに影響を与えることはなさそうだ」と報じた。

下院情報特別委は21日も公聴会を開く。その後は、下院司法委員会に舞台が移る。そこで弾劾の根拠や理由を記した「弾劾決議案」を作成する流れが想定される。

司法委員会の場でも公聴会を開く可能性があり、民主党はボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)の招致を探る。ボルトン氏は証言に応じるかを裁判所に委ねており、12月中旬にも判断が示される見込みだ。

民主党指導部は12月中に弾劾決議案を可決させる構えだ。弾劾訴追されれば、上院が来年1月にも弾劾裁判を開く。共和が過半を占める上院で最終的にトランプ氏を罷免するかどうかを決める。

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