フィンテック、金融の空白補う 企業価値200億円超7社
解剖 NEXTユニコーン調査

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2019/11/25 0:00
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オリガミは消費者向けの決済サービスの技術を企業に開放し、新しい市場を開拓する

オリガミは消費者向けの決済サービスの技術を企業に開放し、新しい市場を開拓する

IT(情報技術)と金融を融合したフィンテック分野で、スタートアップ企業の成長が目立つ。日本経済新聞社の「NEXTユニコーン調査」で企業価値を算出したところ、200億円を超す企業数が最も多く7社あった。資産運用の自動化などの技術革新で個人や企業に新しいサービスを提供している。既存の金融市場で空白だった領域を新興勢が埋める構図だ。

調査で企業価値を算出した181社のうち、フィンテック企業は14社となった。クラウド経由で会計ソフトを提供するフリー(東京・品川)が最上位の4位だった。同社は12月17日、東証マザーズに上場する。次はどのフィンテック企業が上場するか、関心が高い。

14社をみると、クラウドやビッグデータ分析など最新の技術によって従来なかったサービスを生みだす企業が並ぶ。銀行の事業の柱である決済と融資の分野で多くのサービスが登場し、投資家も成長を期待する。

情報サービス会社イニシャルによると、世界から国内スタートアップに集まった投資額のうち、フィンテック企業に流れ込んだ割合は18年に16%だった。同社が区分する人工知能(AI)やヘルスケアなど32分野の中で最大だ。

消費者は金融に高い安心感を求める。一部の決済サービスでは不正利用が発覚し、信頼を失った。加えて様々な分野で金融大手などの参入が続いており、競争は激しくなる。成長のハードルは年々高まっている。

オリガミ、決済技術を開放

2012年設立のオリガミ(東京・港)はキャッシュレス決済サービスの草分けだ。消費者や小売店での採用を狙ってきたが、企業の開拓にかじを切り始めた。独自の決済サービスをつくりたい企業に、消費者向けに築いた技術を提供する。

トヨタ自動車が19日に発表したアプリ「トヨタウォレット」はオリガミの企業開拓の成功例だ。このアプリで使える複数の決済手段のうち、クレジットカードと連動させる後払い機能はオリガミが開発に携わった。

康井社長は企業の需要開拓にかじを切る

康井社長は企業の需要開拓にかじを切る

企業の間で、顧客のデータを取得・活用したいという需要が高まった。オリガミは裏方として決済の仕組みを提供する事業が成り立つとみる。

9月には決済技術を企業に無料で開放する戦略を発表し、これを使って独自サービスを作ってほしいと企業に呼びかけた。吉野家、ピーチ・アビエーションなど14社が採用する方針だ。

オリガミは決済額の数%を手数料として得る。企業が決済アプリを通じてクーポンなどを配信するときも料金を取る。

オリガミは消費者向けサービスで中国企業と提携しており、20年中に海外で使えるようになる。消耗を強いられる国内での還元合戦とは距離を置き、新たな戦略で成長を目指す。

イエール、ローン処理を簡単に

住宅ローン分野のiYell(イエール、東京・渋谷)は住宅事業者のローン業務が楽になるサービスを提供している。海外では成長分野と見込まれ「住宅ローンテック」と呼ばれ始めている。

窪田社長は住宅ローンのプロとして認知されたいと話す

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主力はローン手続きアプリ「いえーる ダンドリ」。住宅事業者や購入者が融資の手続きやスケジュールを共有しつつ、まとめて管理できる。購入者が住宅ローン専門家に質問できるチャットなど複数の機能がある。

取引する住宅や不動産の企業数は約2000に広がった。金融機関には業務のデジタル化も支援している。9月、横浜銀行グループなどの出資を発表した。

窪田光洋社長は新卒入社した企業で住宅ローン事業に携わり、仕事の負担をIT(情報技術)で減らせると2016年に起業した。「日本で住宅ローンのプロとして認知されることを目指す」

欧米では個人からローンへの投資を募る企業などが成長している。イエールは住宅購入者の質問に自動回答する機能の開発など、日本で先行してノウハウを築く。

(齋宮孝太郎、矢野摂士、佐藤史佳)

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