ソニー高木専務「スマホ、5Gで重要性が増す」

2019/11/21 15:43
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ソニーのAV(音響・映像)事業を統括する高木一郎専務は21日、日本経済新聞の取材に応じた。赤字が続くスマートフォン事業について「(次世代通信規格の)5G時代に重要性が増す」と語り、事業を継続する意義を強調した。超高精細の8Kテレビに関しては「(コンテンツが不足する)現状では宝の持ち腐れになる」と早期の製品化に否定的な見方を示した。

取材に応じる高木専務(21日)

ソニーは今年4月、テレビとカメラ、スマホの3事業を統合した。そのうちスマホ事業は赤字が続き、撤退もささやかれている。ただ、スマホの旗艦モデル「エクスペリア1」には「テレビのディスプレーの技術、ハイレゾなどの音響技術、カメラの技術など(ソニーが持つ技術を)全部詰め込んだ」(高木専務)といい、グループ総出で事業の立て直しを進めている。

高木専務は「5Gが本格化すると、複数の機器を連携させて提供するサービスモデルができる。スマホは単なる通信手段ではなくなる」と指摘。「通信業界に身を置き、端末事業を持ち続けることがグループのシナジー(相乗効果)の最大化に不可欠だ」とスマホ事業を継続する意義を強調した。

スマホの端末価格をめぐっては、10月からの新ルールで通信契約を条件とした値引きが上限2万円に制限された。新ルールの下での戦略については「ソニーの総合力を結集させたプレミアム商品に特化する。付加価値を追求するのが我々のスマホのあり方だ」と安売り競争とは一線を画する方針を示した。

超高精細の映像が表示できる8Kテレビは、18年にシャープが世界で初めて市場に投入し、海爾集団(ハイアール)など中国勢も参入している。ただ、高木専務は「国内外とも市場はまだ限定的。コンテンツが不足している」と指摘。日本ではNHKが18年に8K放送を始めたが、民放各社による放送はまだない。

コンテンツが不足する中で8Kの画面を生かすためには「8Kではない映像を8K相当にアップコンバート(変換)する必要がある」。ソニーはコンバートの技術開発を進めているが「まだ完璧ではない」という。

ソニーは当面は4Kテレビに注力するが、その4Kテレビは価格下落が激しい。英調査会社IHSマークイットによると、中国勢によるパネルの供給過剰を受けて、世界のテレビの平均価格は4~6月に前年同期に比べて1割近く下がった。

ソニーは10月末に19年度のテレビの販売台数の見通しを1000万台と、7月時点から50万台引き下げた。高木専務は、店頭販売が中心の欧米では陳列棚の面積確保などによる店頭での存在感を保つためには「1000万台は大事なライン」と1000万台を維持する姿勢を示した。米国では販路拡大に向けて人材の投入も始めるなど、テコ入れを進めている。

製品別で販売数を伸ばしているのがワイヤレスのヘッドホンだ。「ソニーは(周囲の雑音を取り除いて音楽を楽しめるようにする)ノイズキャンセリングと音質を切り口に商品開発を進めている」(高木専務)ことが強みとなっているという。

ただ、ワイヤレスヘッドホンでは米アップルなど資金力を持つIT(情報技術)大手の参入が相次いでいる。「ノイズキャンセリングはアナログの技術が多い。ソニーにノウハウが蓄積されている分野だ」と技術力で違いを出したい考えだ。(広井洋一郎)

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