「企業債務にリスク」 FRB、利下げ停止の要因に

トランプ政権
貿易摩擦
2019/11/21 6:22
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【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は20日、10月29~30日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。会合参加者は「現在の政策スタンスが適切だ」として、先行きの利下げを見送る考えで一致した。参加者の一部は「企業債務の積み上がりがリスクだ」とも指摘し、FOMCが金利低下による金融バブルを警戒していることも分かった。

FRB本部(ワシントン)=ロイター

10月のFOMCでは、7月、9月に次ぐ3会合連続の利下げを決断した。投票メンバー10人のうち、2人の地区連銀総裁は「景気見通しは引き続き良好だ」として反対したが、パウエル議長ら8人は「貿易問題と世界景気の弱さを打ち消す」として0.25%の政策金利の引き下げを支持した。

会合では先行きの金融政策も議論した。参加者は3回の利下げによって「力強い労働市場と緩やかな経済成長を支えることができる」と判断。「金融政策は現状が適切だ」として、先行きは利下げを当面見送る考えで一致した。FOMCの声明文から「成長持続へ適切に行動する」との文言を削除し、利下げ打ち止めを市場に示唆することもその場で決定した。

利下げ停止の背景には、金利低下によって債務リスクが一段と膨らむ不安もある。米国の企業債務は過去最大の15兆ドルまで膨らんでおり、会合参加者の一部は「市場参加者は企業債務のリスク管理に過度に楽観的かもしれない」と警鐘を鳴らした。複数の参加者からはリスクの高い低格付け債の発行が増えるなど「社債の質の低下」を不安視する声も漏れた。

FOMCでは将来の景気後退期の緩和手段についても議論した。米国債などを大量に購入する量的緩和は「有効だ」としたものの、過去に比べて長期金利の引き下げ余地は乏しく「経済効果は弱まっている」との指摘があった。日欧が採用するマイナス金利政策は「副作用が大きい」などとして「現時点で魅力的な手段ではない」と断じた。

2020年秋に選挙を控えるトランプ大統領は追加利下げを露骨に要求しており、FRBも3回の利下げで応えてきた。ただ、パウエル議長らが先行きの追加緩和に慎重な姿勢に転じたことで、ホワイトハウスとFRBの対立が強まる可能性がある。トランプ氏は18日にはパウエル議長をホワイトハウスに呼んで直接利下げを要求。FRBは景気だけでなく政治との距離感を問われる局面が続きそうだ。

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